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今日も変わらず地球は回る




「彩音のお祖母様って美人だね〜!」
「彩音と似てるわね」
「ふふっ、ありがと」
「ジュリオさんもイケメンだったし!」
「言っとくね」

桜達に相槌を打ちながら、テニス部の皆と一緒に歩く雅治の背中を見つめる。
お祖母様達と別れてから、雅治は少し不機嫌な様子。
まぁ、うん、私が悪いよね。
イタリアじゃ普通でも、日本じゃあんなことしないもの。
でも、妬いてくれたんだなって思うと、ちょっとだけ嬉しかったりする。雅治には悪いけど、ね。

高台寺を過ぎ円山公園まで来た私達は必ず1ヶ所で貰わなければならない先生のチェックを貰った後、少し休憩することにした。

甘味屋さんに入り、みんな色々と注文して一息入れる。
私は注文した抹茶パフェを前に、向かいに座る雅治を見つめた。
目を合わせようとしないのは、さっきのことがあるからだよね…。
でも雅治も分かってるんだと思う。何かきっかけが欲しいだけ。

「雅治、はい、あーんして?」
「…は?」
「えい」
「ん、冷たっ」
「美味しいでしょ」
「……」

突然のことに驚いた雅治がポカンと開けた口に、アイスの乗ったスプーンを入れてみた。
ニコッと笑ってみると、雅治はばつが悪そうに顔を顰めて息を吐いた。

「…すまん」
「雅治が謝ることないよ?私も気が付かなくてごめんね」
「ん。このアイス美味いな。もっとくれん?」
「いいよ。はい」

ふっと笑ってくれた雅治の口元にスプーンを差し出した時。

「…マジ腹立つ」
「奇遇だね丸井、俺もだよ」
「あー暑い暑い」
「柳君、それは何のデータですか?」
「まぁ、色々と参考にな」

皆の呆れた視線が私達に刺さっていた。
柳くん、何の参考にするの?
でも、私ももうただじゃ転ばないから!

「……丸井くんも彼女つくったら?」
「……蓬莱が仁王みたいなこと言った!」
「彩音、グッジョブ」

あ、丸井くんが本当にへこんじゃった。ごめんね。(あんまり悪いと思ってないのは秘密!)

「彩音、ペテン師にだけはなっちゃダメだよ!」
「別にならないよ…」

真面目な顔で諭そうとする海里に苦笑して、私は再び抹茶パフェに口を付けた。



(090808)

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あきゅろす。
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