今日も変わらず地球は回る 9 「彩音のお祖母様って美人だね〜!」 「彩音と似てるわね」 「ふふっ、ありがと」 「ジュリオさんもイケメンだったし!」 「言っとくね」 桜達に相槌を打ちながら、テニス部の皆と一緒に歩く雅治の背中を見つめる。 お祖母様達と別れてから、雅治は少し不機嫌な様子。 まぁ、うん、私が悪いよね。 イタリアじゃ普通でも、日本じゃあんなことしないもの。 でも、妬いてくれたんだなって思うと、ちょっとだけ嬉しかったりする。雅治には悪いけど、ね。 高台寺を過ぎ円山公園まで来た私達は必ず1ヶ所で貰わなければならない先生のチェックを貰った後、少し休憩することにした。 甘味屋さんに入り、みんな色々と注文して一息入れる。 私は注文した抹茶パフェを前に、向かいに座る雅治を見つめた。 目を合わせようとしないのは、さっきのことがあるからだよね…。 でも雅治も分かってるんだと思う。何かきっかけが欲しいだけ。 「雅治、はい、あーんして?」 「…は?」 「えい」 「ん、冷たっ」 「美味しいでしょ」 「……」 突然のことに驚いた雅治がポカンと開けた口に、アイスの乗ったスプーンを入れてみた。 ニコッと笑ってみると、雅治はばつが悪そうに顔を顰めて息を吐いた。 「…すまん」 「雅治が謝ることないよ?私も気が付かなくてごめんね」 「ん。このアイス美味いな。もっとくれん?」 「いいよ。はい」 ふっと笑ってくれた雅治の口元にスプーンを差し出した時。 「…マジ腹立つ」 「奇遇だね丸井、俺もだよ」 「あー暑い暑い」 「柳君、それは何のデータですか?」 「まぁ、色々と参考にな」 皆の呆れた視線が私達に刺さっていた。 柳くん、何の参考にするの? でも、私ももうただじゃ転ばないから! 「……丸井くんも彼女つくったら?」 「……蓬莱が仁王みたいなこと言った!」 「彩音、グッジョブ」 あ、丸井くんが本当にへこんじゃった。ごめんね。(あんまり悪いと思ってないのは秘密!) 「彩音、ペテン師にだけはなっちゃダメだよ!」 「別にならないよ…」 真面目な顔で諭そうとする海里に苦笑して、私は再び抹茶パフェに口を付けた。 (090808) [*←][→#] [戻る] |