猫目堂 夏色びいどろA 「あの子たち、すっかり仲良しね」 「そうだな。一時はどうなるかと思ったが、またあの子の笑顔が見られて本当に良かったよ」 二階から聞こえてくる楽しそうな声に、少女の両親は顔を見合わせてほほ笑む。 「あのびいどろ、そう言えばブラックも大好きだったわね」 母親が少ししんみりとした口調で言うと、 「ああ、そうだね。きっと今ごろ、ブラックも天国で飛び跳ねているんじゃないかな」 そう答えて、父親はそっと妻の手を握った。そのまま二人は並んで窓の外を見上げた。 よく晴れた夏空に、真っ白な雲が気持ちよさそうに浮かんでいる。 ――ペコン ポコン ペコン ポコン 乾いた風に乗って、不思議な音色が、どこまでもどこまでも天高く昇って行く。 《おしまい》 [前へ][次へ] [戻る] |