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Novel
翻弄されます(団兵/年齢操作)

※忍術学園卒業後再開
団蔵は馬借、兵大夫はカラクリ師とかそのへん
忍術学園卒業まで付き合ってた→久しぶりの再開と考えて頂くと分かりやすいと思います。




はぁ、と深く息をついた。
つい先程まで触れられていた指先はカタカタと震え、だがしかし確実な熱を持ってそこに存在していて、けれど僕はどんなに冷静になってもこれが自分の手だとはどうしても思えず、まるで別の何か、いや誰かの手の平のようだとぼんやりと考えていた。

‐‐‐‐‐‐‐


久しぶり、とかなんとか挨拶もなしに。

「兵ちゃん、手」

「え、」

「出して」

僕が言葉を紡ぐ前に、まるではなから僕の答なんて興味がないように、団蔵は僕の手をぎゅっと握った。

「だん―…」

カラクリの仕掛けを作ってばかりいる自分の手とは明らかに違う、馬の手綱を引いているらしい少し日に焼けた健康的な手に、ゴツゴツとした指に厚い掌。
ああ入学して無邪気に手を繋いでいた時よりも大きくなってるなあなんて。そう言えばこの手に触れるのはずいぶん久しぶりだった。そんな風に、気を抜いて考えごとなんかをしていたら。

「兵ちゃん、」

ちゅ、

「え、」

手の甲に落とされた口づけ。
残念なことに考えごとをしていた筈の僕の頭は何をされたかすぐに理解して、次の瞬間には悔しいけれど顔に熱が集まっていくのが分かった。

「…な っに…して…」

「…何って」

震える唇からなんとかそれだけ言葉を紡ぎ出した僕に対して、団蔵は何の気なしにキス、とさらりと答える。
ああ昔はこう言う話をする能力も僕のほうが上で、いつも団蔵を丸めこんでいたような気がするんだけれど、今はそれが逆になっている。まあ勉強ではきっと今も昔も僕が上だからいい。

「好きだよ」

真っ直ぐな瞳で僕を見て、一寸も迷わずにそう言った団蔵は、誰が見ても眩しい、僕には到底出来ないような太陽みたいな笑顔をした。

「だって、兵ちゃんだって俺のこと好きでしょ」

「…」

そんなわけないだろうと殴ってやりたかったが、カラクリを作る時は良く働いてくれる僕の頭は、団蔵と居ると、つまりこんな時こそ誤作動を起こす。どうやらそれは繋がれた手から伝わってくる考えていたより大分高い団蔵の体温だとか、さっき手の甲に触れた唇だとか、今の団蔵の笑顔だとかが原因で。
つまり色々と考える事を放棄して、僕はこくんと頷いていた。

「やっぱり、ね」


クスクスと嬉しそうに笑って、団蔵はもう一度僕の耳元で囁いた。

「俺も兵ちゃんが好きだよ」

握られた手は握ってきた時のように呆気なくぱっと離れ、ああようやく楽になれると思ったら今度は体全体に団蔵の感覚。
僕は団蔵に触れられた所がまるで自分の物ではないような気がしてきて、第一その前に心臓が駄目になってしまいそうで少しだけ慌てる。

ああもう、本当におかしくなりそう。


「…っ、団蔵」

「なぁにー兵ちゃん」

「…キスは駄目だからね」

「えっ、なん」

「駄目だからね」

「……わかりましたー」

渋々と言った低でも一応その答にほうと安心して、僕は抱き寄せられるままに団蔵の腕の中に収まる。やっぱりあの頃よりも大分鍛えられていて、これも会計委員の賜物なんだろうかなんて。それとも風呂場で虎若達としていた修業まがいのじゃれあいに効果があったなんて、あまり思いたくはないけれど。

「ね、兵ちゃん」

「なに、ッん」

「んー」

紡ごうとした言葉が遮られ、呼吸が奪われる。ついでに思考回路も奪われる。
自分で余裕が無いと自覚しているだけに、口吸いに驚いて咄嗟にぎゅっと閉じてしまっていた目を薄く開くと、僕の思考回路を占領している張本人は酷く余裕そうな事に腹が立った。

「んん、んッ―…」

ありとあらゆる悪口雑言が頭の中を駆け巡り、それを吐き出したい衝動に駆られる。けれど唇は塞がれたままで、ぐいと体を押し返してみてもびくともしない。そして、苛立つ思考回路とは反対に、体からはどんどん力が抜けていく。久しぶりだからと自分に言い訳をしても、苛立ちは消える訳もなく。ああもう、こんなのってない。
つまり、ようやく解放された時には僕は団蔵に寄り掛かり、腰を捕まれて支えられ、ぐったりしていて。

「は、…し、ねっ…!」

荒い呼吸で何とかそれだけ言葉を紡ぎ苛立ちを訴えるが、それはもうただの負け惜しみのようなものでしかなくて。その証拠に団蔵の頬の緩み方と言ったら、殴り飛ばしてやりたいくらいだった。けれど。

「はは、兵ちゃんとキスするの久しぶりすぎて止まんなかった…」

耳元で申し訳なさそうにゴメンネ、と呟かれれば(例えそれが上辺だけだとしても)、僕は許してしまう。先程のあれほどまでの苛立ちは、どこかに消えていってしまう。

「…はあ…」

「兵ちゃん?」


色々考えても仕方ないと分かっていても考えてしまうのは、僕の性格だからしょうがない。けれどそんな僕の頭から導き出された答えは結局、つまり僕はいつも団蔵に振り回されて喜怒哀楽しているんじゃないかってことで。

要するに、

「馬鹿みたい」

馬鹿みたいな、僕。
そんな僕を愛してると言う団蔵は、もっと馬鹿でいい。

僕はくすりと笑って、馬鹿な団蔵の尻尾を、ぎゅうと力まかせに引っ張った。


(要するに、)
(僕の喜びも怒りも悲しみも、団蔵がいないと成り立たないってこと)
(言ってなんてやらないけどね、)


END



なんかわかりずらくてすいません。矛盾点が沢山あって泣きそうですorz
年齢操作で忍術学園卒業後久々の再開、みたいな雰囲気かな、と。特に設定も決めず思いつきで殴り書いたのでグダグダでしたorz




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あきゅろす。
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