小説2 (鬼×神と人のハーフ) 完結
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なめらかな舌を絡め取り、こちらに誘い込んで軽く吸う。
かくん、と紫陽の膝が崩れた。
〈まいった…〉
気を失った紫陽をそっとソファに横たえながら、主夜は戸惑いを隠せない。
主夜の心臓はまだ早い速度で打っているし、力を入れていないと手が震えてきそうだ。
今まで誰としても何も感じなかった閨事が、どうして紫陽との時だけ恐ろしいほどの快感を呼んでしまったのかは解らない。
それでも、紫陽をかわいいと思ったり、守りたいと思うこの感情が何であるか、主夜ははっきりと理解した。
500年生きてきて、初めての感情だ。
紫陽が18歳になり陰陽寮を出て行くことになってから、戸隠に連れ帰って兄弟のように過ごせればいいと思っていたが、この感情に気付いた今、そんな生易しいことでは自分は満足しないだろうと思う。
どうしても紫陽が欲しい。
自分が紫陽に抱いているこの感情と同じものを、紫陽にも持ってもらいたい。
それが叶うなら、自分はどれだけ幸せになれるだろう。
紫陽の頬にそっと手を当てると、大きな琥珀色の瞳がぱっちりと開いた。
まだ幾分潤んだその瞳を見て、主夜の心拍数が上がる。
「大丈夫か?」
尋ねる声が、ふるえてしまう。
「主夜さま、どうして…?」
どうして気を失ったのか、どうしてキスしたのか。
問いを最後まで口に出さなかったので、紫陽がそのどちらを聞きたいのかわからない。
答えの代わりに唇を落としたら、紫陽は拒絶するだろうか…?
紫陽の唇に自分の唇を当ててみる。
柔らかくて、甘い。
「ん…」
紫陽が拒まないのをいいことに、口内をゆっくり愛撫してから唇を離す。
「はあ…」
かわいい唇から、ため息のような声が漏れる。
「紫陽、俺が嫌いか?」
紫陽の首が横に振られる。
嫌われていないのならば、チャンスはあるはずだ。
「この家で一緒に暮らさないか?」
紫陽がもっと主夜を必要とし、頼りにする状況を作り出して、ゆっくり口説き落とせばいい。
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