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小説2 (鬼×神と人のハーフ) 完結
36
自分の気を相手の体に流すという行為は、神や鬼に伝わる有名な閨事だ。

最高の快感を得られると伝えられている。

主夜にそれをせがんだ鬼女たちは、主夜とベッドを共にすることを期待していたのだろうが、気を流した主夜が快感を覚えることもなく、鬼女たちは皆、気の力が強くなり、術が格段に上達した。

言い伝えの閨事など、いい加減なものだというのが主夜の感想だったが、あれを紫陽に試してみたらどうだろうと考える。

紫陽は頭がいい。
きっと、気の流れのコツをつかんで、術が使えるようになるだろう。

「紫陽は右利きだったな?」
「はい…?」

主夜が話してくれるのを腕の中でじっと待っていた紫陽が、いきなりの話題転換に目を瞬かせながら答える。

「自分の気が集まるのは体のどこなのか解るか?」
「はい、ここ。珠があるところです」
紫陽の手が、自分の胸のちょうど真ん中に触れる。

「よし」

腕の中でくるっと紫陽の向きを変え、後ろから抱きこむようにすると、左手を珠があるというところに当てる。

次いで、小さな右手を自分の右手で包み込むようにした。

「主夜さま…?」
「動くな。気の流し方を教えてやる」

びっくりさせないように、少しづつ左手から気を流し込み、紫陽の気を絡め取る。

「う…?」
ぞくりと背中をはい上がってきた快感に、思わず声が漏れる。
紫陽の体も、びくっとふるえた。

〈なんだ、これは〉

絡め取った紫陽の気を、右手に向かってゆっくりと流しているだけなのに、次から次へと快感の波が背中を這い上がってくる。

「解るか、紫陽」
尋ねる声が、かすれてしまう。

紫陽が首をひねるようにして、主夜を見上げた。

「…主夜さま…」
紫陽に呼ばれて、またぞくっと波が来る。

紫陽の瞳が潤んで、主夜を誘うようにキラキラとしている。

小さな唇に、そっと自分の唇を重ねた。

「ふっ…ん…」

舌で歯列をなぞり、快感を呼ぶように上あごを探ってみると、紫陽の膝がふるえだした。



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あきゅろす。
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