War Chronicle of Toskiel(紺碧の空)完 :初動 コスク城メインゲート前。一万五千の兵たちが整列している。 「あれ? パイクスタッフは?? どこ?」 「彼なら、特務で出張中だよ」 ヴェスヴィオスが現れた。見るからに、嫌そうな表情だ。 「フェルドランス、話がある」 「何ですか」 「お前、前のアイフェル会戦での敵の編成を知っているか」 「もちろん!装甲歩兵八万でしょ」 「正規軍は三万。あとの五万人は、奴隷だったそうだ。帝国国民ではなく、旧トグレアの民だ。お前は、彼らも殺した」 「そ……そんな事が」 「だから、今度はもっとましな作戦にしてくれないか」 「でも……申し訳ございません。考えときます」 「お前も知っての通り、今回の作戦目的は戦いではない。可能な限り敵を首都から遠ざけ、国民が脱出できるだけの時間を稼ぐんだ」 「わかりました」 フェルドランスは目をしばらく閉じると、兵士たちの歓声の中へ歩んで行った。先頭に立ち、振り返る。 「みんな、行くぞ!」 全員、一気に駆け出す。このとき、帝国軍は既にエルツに到着していた。 [次へ#] [戻る] |