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縹(禮晶)完

こっそりと上目遣いで確かめると、気位だけはやたら高そうな中年男が立っていた。
これが玉の言っていた陽(ヨウ)親王だろうと縹は推測した。
彼曰く帝位を狙って画策中とか何とか。
先刻の襲撃も犯人が彼という可能性が九割ならしい。
「陽、妖術と言えども使い手がこちら側の者であればそれは我らに大きな利をもたらすのだぞ。」
「しかし…」
なおも食い下がろうとする陽をか細い声が制止した。
貴妃か妾妃とみられる小柄な女性である。
正殿でもそうした女性を同伴可とは、今まで色ボケ皇帝はいなかったのであろうか。
日がな一日、後宮に籠りきり…なんて話も他国では聞くが、と若干失礼な感想を縹は抱いた。
まぁ、女性を卑下するつもりは毛頭無いし、と言うか寧ろ女性の方が有能な場合も多々ある。
「陽殿下、そこの者はあやしの術使いとは言えども玉殿下の御命を助けて下さった方。護衛として任じても何ら問題は起こりますまい。」
「義姉上までそのような事を……」
陽は押し黙り、結局縹は護衛として任じられる事になった。


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あきゅろす。
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