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蛟竜(禮晶)完
拾陸
舜が太白剣を竜と葉の前の黄金の台座に据えた。
まず竜が太白剣を押し戴いて抜こうとした時、
「待て、竜皇子の名を騙る偽物が」
廉親王である。
「どういう事だ。何を言い出すのだ、廉」
舜が怪訝そうな表情で異母弟に尋ねた。
「恐れながら彼の者は真に竜皇子でしょうか?」
「…………!」
確かに竜が竜皇子たる確証はない。
だが竜は母に生き写しであり、正妃の子なのは間違いないのだろう、と女官達が皆で噂話をしていたのをコウは聞いた事がある。
正殿に正妃の肖像画があって、その肖像画に竜は目鼻立ちの何から何まで全てが瓜二つならしい。
盲目のコウは確かめようも無いが、もし仮に竜が竜皇子でなくてもきっと彼は良い君主になる。
まぁ、現実問題それでは駄目なのだろうが。


「しかしあれは余の亡き妃に生き写しだ。」
「他人の空似、という事もありえる事でしょう。彼の者が竜皇子という確証がありますか?」
居並んだ群臣達の間にも動揺とざわめきが走る。
竜を支持してしまっていた者達も、竜が偽物では今までの贈り物(賄賂)も無駄だし立場も危うい。
確かに、他人かもしれない、さては偽者なのか………
……そしてここぞとばかりに廉が叫んだ。
「竜皇子の名を騙る偽者を捕らえよ!」
廉の命令を受け、喉元に刃を突きつけて来た兵を見た竜は愕然とした表情で呟いた。

「条………何故……?」


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あきゅろす。
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