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SPIRIT OF MASTER
†††




友達が出来ないまま、街を歩いていたケイは、まだ病気にかかっていない子供を見つける。

名前をシン、と言った。


よく笑い、怒る、活発な子だ。

ケイは宝物のバスケットボールを貸してあげて、二人で遊んだ。



「ケイが来てくれて嬉しいよ。みんな、変になっちゃったんだ。」

「…シンの、友達も?」

「うん。街中の子供がほとんど。」



悲しい、とシンは呟いた。


淋しそうな横顔を見ながら、早く治るといいね、と言いながら、ケイはシンの友達が帰ってこなければいいのに、と少しだけ思って自分が嫌になった。







一緒に走り回って、笑い転げて、歌って、遊んだ。

楽しそうにはしゃぐ二人を、無表情な子供達が見ていた。





「最近、よく遊びに行っているみたいだな?」


夕食の時に、疲れた顔をして父親がケイに言った。

あまり治療はかんばしくないらしい、とケイは上目使いに父親を窺う。


「まったく。勉強はしてるのか?ケイ。」

「ちゃんと、してるよ。」



口答えしたケイに、父親は疲労から苛ついた表情を見せ、それから目を伏せると食べ終えた食器を片付けながら溜息をついた。

背を向けながら小さく呟いた父親の言葉は、しっかりとケイに届いてしまった。



「…やっぱり…連れてくるんじゃなかったな。」










そして。

翌日、シンと待ち合わせていたケイは、待ち合わせ場所に来なかった。








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