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こねた
When I was young, my mother said...(佐助)
むかし、おさないころ、おかあさんはいった。
「わるいことをしたら、ちゃんと、ごめんなさいって、いいなさい」
「そうして、いいよ、っていわれたら、ありがとうって、てをにぎりなさい」
むかし、おかあさんは、そういった。





「ごめんな、佐助」

部屋に来ていた佐助にそう告げると、彼は慌てた様に俺の腕にしがみついた。

「ど……どういうこと?やだ、やだよ。俺様なんかしちゃった?俺様に飽きた?悪いとこ有るなら変えるから!秋人の好きなように変えて!だから、お願いだから、捨てないで、側においてよ……」

狼狽している様な彼の頭に手を置いて、撫ぜる。

「そうじゃないよ、佐助。今日、学校で噂を聞いたんだ」
「ウ……ウワサ?」
「俺が佐助を騙して何股もしてる悪いことしてる不埒な奴だって。だから……」

その噂の半分は真実だった。俺は佐助の他に6人と付き合っている。だが、それはその全員に告げてあるから騙しているつもりはなかった。

「そ、そんなの!気にすることない!俺様が!自分で!秋人の側にいるって決めたんだぜ!?だから!その噂が気になるなら!そいつら見つけて消すから!だから!……俺様を、捨てないで……」

ギュッとしがみついてくる佐助の顎をすくって目を合わせた。
彼の目は不安げに揺らいでいて、さらに奥には怒りが見える。

「佐助、怒ってる」
「秋人に怒ってるんじゃないよ!秋人を悪く言った奴に凄く目茶苦茶にしてやりたいくらい怒ってるだけ」
「ほんとう?」

そう聞くと彼の目には怯えが混じった。

「佐助、怖がってる」
「だって……秋人が信じてくれなかったら……。本当に秋人に怒ってるんじゃない。俺様、秋人になら何されたって怒らないよ!」

必死に訴えてくる彼の顎から手を下ろす。

「佐助、ほんとうにいいの」
「いいよ!秋人の側に居られるなら、なんだって!」

ようやく欲しい返答を貰えた俺は、「ありがとう」と言って佐助の手を握った。





むかし、おさないころ、おかあさんはいった。
「わるいことをしたら、ちゃんと、ごめんなさいって、いいなさい」
「そうして、いいよ、っていわれたら、ありがとうって、てをにぎりなさい」
むかし、おかあさんは、そういった。

そして、にっこりわらって、
おかあさんは、おしえてくれた。


「そしたら、みんなと、なかよくできるよ」

って。

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