ゾロサン×サンゾロ
温もりの在る場所
…暖ったけぇ
心地良い温もりだ
でも…誰の手だ?
感触に覚えは在るのに思い出せねぇ…
あぁ…楽だ…
身体はダリィけど…
この手は…心地…良…
――――――――
ベッドの中ゾロは独り熱に魘されている
そして夢を見ている
遠い昔…幼き頃熱で倒れた時、遥か彼方に記憶する母親の暖かく柔らかな我が子を想う母の温もり
稽古中…親友に隙を突かれ竹刀で面を喰らい、情けない事に小一時間失神してしまった時の、あの逞しく大きな恩師の手や親友の安否を秘めた小さな手の温もり
どれも懐かしく暖かな記憶だが今回は少し違う…
今感じる手はそれまでに無い不思議な温もり…
不思議な気持ち…
不思議な…
安堵の感触
この手の平は…けして柔らかいとも逞しいとも云えず、余り肉付きの無いどちらかと云えば細くて無骨な冷ややかな指先…
その細い手の平がやけに暖かく…心地良く…安心感を抱かせる物に感じる
その時…
フッと夢の中のイメージが変わり一人の背中が見えたのだ
その男らしき人物は、小気味良く何かを造っている様な仕草をしている
夢の中でゾロは、何故かその男の居る方へ向かいたくなり歩み寄った
すると…その男は振り向き様に片方の腕を伸ばしてきたのだ
それはアノ…不思議な温もりの手…
その時…熱に魘されながらもはっきりとその手の主に気が付いたのだ
……サンジか
それまで男の顔には靄が掛かりはっきり見えてはいなかったのだが、名前を口にした瞬間徐々に霧が晴れる様に輪郭が映り出す
そして…
ゾロは夢から覚めゆっくりと自分の額に置かれた手の主を見上げると、そこにはくわえ煙草を吹かし自分を覗き込むサンジの姿が在った
『よう…気分はどうだ大剣豪?』
『……あぁ…最高だ♪』
『はぁ?熱のせいで余計頭おかしくなっちまったか?!』
『フッ♪』
…テメェが俺の
…安住の地…
―終わり―
―【あとがき】―
たまにはゾロ兄やんだって感情の余韻に浸る時だって有るんでないかい♪言葉にはせずとも記憶の奥底に在る心地よい温もりに癒されたりも♪的〜な〜?(笑)
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