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10 NOvEL 05
散って、散ってカメリア










不意に視線が行ったさきには、真赤に咲き誇る椿。


「嗚呼、血みたいな色しやがって」
なんて椿に文句垂れてみる。


その散り際も、色も、人の死を思わわせる。

あの頃、沢山見てきた人の死。仲間の死。



「あれから俺は変わったか―――・・・・?」


自分では解らない。
否、解ろうとしないのかもしれない。


自分はここに居ていいのかと思うことすらある。






ただ、








『椿、久しぶぶりに見た』

『っ!土方っ!!』

『なに花なんか見てつっ立ってんだ?らしくもねえ』



笑いながら俺に歩み寄ってくるそいつとは




『いや、なんか椿って人間みたいだと思って』

『・・・・死に際みてえだな』

『・・・うん』

『・・・手ぇ、だせ』

『うん??』

『ぜってぇ、離さねぇからな』

『・・・うん』




突然こうやって手を握ってくるこいつとは


離れたくないと思った。





嗚呼、散って散ってカメリア。



花は

椿は


散ってしまうけど







俺たちは


決して散らねえ。

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あきゅろす。
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