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10 NOvEL 05
2010年 土誕祭文『初、君を、祝う』




『『『カンパーーイっっ!!』』』



大の大人の、それも男の野太い声が宴会場に轟く。


『いやあ、トシ!誕生日おめでとう!!』

『ん、ああ。有難うな、近藤さん。』

『また一つ、死に近づきやしたね。』

『お前の所為で年中命の危機に晒されてるけどどな』



本日5月5日といえば、真選組副長、土方十四郎の生誕の日である。
「誕生日会」という名目に託けて、隊士たちは飲みたいだけなのだろうが、それでも祝われている当人にとっては嬉しいものなのであろう。自然、心が浮く。



『でも土方さん、誕生日祝っててくれるような彼女とかいないんですか?』



山崎からでた自然な質問。
そう、土方ほどの男前なら其のぐらいの誘いは嫌と云うほどあるだろう。



『いねえからこんな野郎共と飲んでるんだろうが』

『なんでい、せっかく祝ってやってるってのにその言い草は。いいっぺん死んで来いよ土方コノヤロー』

『お前は黙ってろ。それと、俺の酒に変な薬仕込むのやめろ!』



そんな話を繰り広げて、楽しい祝いの場にありながら、土方当人は少し考えるところがあった。



「祝う奴・・・か。」



思う先には、真選組とは因縁めいた関係にある男。

白髪を思わせる銀糸の髪の男、

万事屋の主人



坂田銀時。




「何で今あんな野郎のこと考えてんだ、俺は・・・」



ニートの如く遊びほうけ、たまに飲み屋で一緒になったかと思うと土方にたかり、あまつさえべたべたとやたらスキンシップを取る男。

だが、鬱陶しいと思いながらもそこまで邪険に扱わない自分に疑問を覚える日々が続いていた。



「ちっ・・・・酒の席だっつーのに・・・」








『あれ?んだよ、税金無駄遣い集団がなんでここにいんだよー』




自分の思考から意識を逸らし、その声がした方へと顔を向けると、そこには今の今まで悩んでいたその男が立っていた。



『・・っんでてめえがここにいんだよ!!』

『何でって・・・俺の行きつけの店だもん。久々に金はいったからぱぁっと飲もうかと思ってねえ。で、今日はまた何の集まり?』

『っ・・てめえに話す内容j『土方さんの誕生日パーチーでさあ』

『てめ、総悟このやろっ・・・』



土方の言葉を遮るように沖田がそう告げた。

また面倒に絡まれたくないと思いながらも、銀時の方へ顔を向けてみれば、にやりと笑った表情がある・・・・と思いきや、つまらなそうな顔があった。



『・・・ふぅん。土方くん誕生日なんだ。・・・・じゃあ俺もお邪魔しちゃおうかね』



そう云うと、食卓をまたいだ席にいる土方の真横にどっかり腰を下ろした。



『てめえ!!もっと他に席あんだろうが!!!』

『つっこむところが違うんじゃねえですかィ?』



なんだかんだ云いながら、真選組の連中と銀時というなんとも云えない面子で飲むことになった。











それから数時間。皆すっかり出来上がった時分。

今回の主役が一人立ち上がった。





「厠・・・厠・・・」




暫く歩くと男子用用厠を発見し、いそいそと中へ入っていく。





『・・・ふぅ・・・。』


用を足してさっぱりしたのか、壁にもたれかかる。
着流しも肌蹴て、色っぽい。




『なあ、土方くん。それ誘ってるの?』




不意に扉のほうから声がする。
先ほどまで宴会の席にいたはずの、銀時が。




『・・・・んなわけねえだろ・・・。なんでてめえがここにいんだよ』

『おまえが戻ってくるのが遅ぇから、どこぞの野郎に犯られてんじゃねえかと思って』

『んなわけあるかっ!つか別に用がねえならもどれよ。・・・俺はもう少しここにいる・・・。』



ふう・・・とまた一つ溜息をついて、銀時から視線を逸らす。
しかし、促された当人はは全く動こうとしない。


『・・・おい・・・さっさと行けっ・・?!』


再び銀時に目を向けようとした瞬間。その人は目の前に居た。



『な・・に・・・・』

『なあ、これから二人で抜けねえ?』

『・・・はぁ?』



唐突な申し出に、頓狂な声が出る。



『俺が祝いいてぇんだよ。お前を』

『ッ・・・なんで・・・』

『好きだから。土方が。』


立て続けに、云われた言葉。



『嫌?』

『あ・・・』

『気持ち悪い?』

『つッ・・・・』



どんどん思考がおかしくなる。
そして、どんどん顔が熱くなる。

「好き・・・こいつを?」

「嫌では・・・ねえ。気持ち悪くも・・・ねえ・・・。何でだ?」




『…まあいいいや。今は。お前の誕生日を祝えりゃ。』

『いや!ちょっと待て!よくねえだろ!!』

『じゃあ返事くれるの?』



真剣な眼差しで見つめられる。
逃げられない。そう思うと、自然と決心がついた。






『今まで、お前をそういう対象として考えてなかった…ででも、気づくとお前のこと考えてた。…だから…多分…』






俺もお前が好きなんだと思う。



そう告げた顔は真っ赤で、だが真剣で。



『…うん。じゃあ、これからよろしくね?トシくん?』

『…おう』



どちらともなく、自然と顔が近づき、口付ける。




「嗚呼、これは今日一番のプレゼントかもしれねえ。」



なんてこと、思っていても口にしない土方であるが、その表情で銀時には丸解りなのであった。










『さて、これからどこ行くか』

『…俺の私宅、来るか?』

『まじでか!!』







その安易な発言で、その人が頂かれたのは云うまでもない。













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あきゅろす。
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