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お題
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私が、哉と会ったのは今夜みたいな月が厚い雲に覆われた暗い夜だった。
哉は患者として私の大学からの友人に連れられてきた。初めて見たとき、華奢で儚い印象を持った。













白い首筋








「ふ………」

カルテを置いて溜息をつく。
今日は満月。“また”行かなくてはならない。哉が来てから、もう何度か目の満月。病気の治療法も思いつかぬままもう数ヶ月。状況の悪化は見られないが改善も見られない。
しかしこのままでは先に私の方がまいってしまうことだろう。
何とか……何とかしなくてはならない。一刻も早く……。

哉を連れてきた友人が言うには病気が発覚したのはちょうど半年前だったという。普段の生活には何も支障を来すことはないが、“満月”の日にのみ病気が生じる。それも変わった病でこれまで見たことも聞いたこともない。

「間宮」

この厄介な病人を連れ込んだ張本人の春日とは大学以来会ってはいなかった。風の噂で私が精神科医になったことを聞いたのか、春日は親戚である哉を私の元に最初に連れて来た。病状を聞かされた私は口をあんぐりと開けることになる。





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