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お題
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「………調子はどうだ」

訪問の連絡を受けてから十数分、春日は姿を現した。社会の波に飲まれたサラリーマンのような風袋をしている。

「さっぱり。収穫なし」

何度この言葉を聞いたことだろうか。予期していた台詞に私は溜め息混じりに浅く頷いた。分かっていたことだが、こうも何も収穫がないと落胆しざるおえない。
私は窓を通して夜空に浮かぶ月を見上げた。

「哉の様子はどうだ」

その問いに首を左右に振ると春日の落胆した様子が感じられた。





「“篠原”さん」

春日が帰った後、私は人気のない廊下を通って哉の病室に訪れた。病室に訪れた“篠原”を哉は月のような笑顔で迎えた。
月明かりに照らされた部屋の中、私へ哉は熱い視線をずっと送っていた。それを素知らぬふりでベッドの側にある椅子に腰を落とすと哉の顔にうっすらと陰が指した。

「どうしていつもみたいにここに来てくれないの」

悲しそうに眉を顰めて哉は私を見つめてくる。私は何も発しない。哉はそんな私を不満げに見る。

「……僕のこと、嫌いになっちゃったの」

胸が痛んだ。今にも泣き出しそうな顔をしている哉。
……私のせいだ。





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あきゅろす。
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