姫と執事の話
2
その後、はじめの一つを口にしたきり、サンジェスは本を読んでいて、サンドウィッチはおろか、飲み物にさえ手をだそうとしていなかった。
それに気付いたリーシャが、“アリアの作った”サラダのサンドウィッチを手に、不安そうに顔を覗き込む。
「サンジェス、食べないのか? もしかして、本当はおいしくないのか?」
「あ……その、いえ……」
すると、それまで大人しくしていたアリアが、バシバシとサンジェスの肩を叩きだした。
「もう、サンジェス様ったらっ。いくら嬉しいからって、食べなければ腐ってしまいますよっ」
「なっ……!?」
それを聞いたリーシャは、嬉しそうに瞳を輝かせた。
「そうなのか! うわぁ、うれしいな。でもサンジェス。食べ物はきちんと食べなければダメだぞ」
「……ハイ」
これで、食べきらなければいけなくなった……。
[*前へ][次へ#]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!