姫と執事の話 5 翌朝。 「サンジェス。入るわよ」 この時間になってもサンジェスが起きてこないなんて、珍しいこともあるもんだ、とアリアは思っていた。 「サンジェス、姫がお部屋にいらっしゃらないんだけど、あなた何か知らない――」 ウワサのリーシャ姫は、ベッドですやすやと寝息をたてていた。 ベッドの主は、ソファで本を胸元に置いたまま、横になっていた。 (さて) どちらを先に起こすべきか。 サンジェスをといつめるのは、その後だ。 アリアは腰に手をあてた。 サンジェスの服装は、シャツのボタンが上から少し開いているだけで、着替えた様子はなかった。 とりあえずは安心してよさそうだ、とほっとため息をついた。 《END》 [*前へ] [戻る] |