雪華と別れた後、しばらくしてから狩沢が口を開いた。
「ねぇねぇドタチン」
「なんだ?」
「今日のドタチン、なんかドタチンらしくないよ?」
「……そうか?」
「そうだよ!だっていつもなら弱きを助け強きを挫く、って感じだもん。でもさっきのはちょっとおかしい」
「…………」
意外と鋭いな……。
「雪華ちゃんとドタチン、本当はどんな関係なの?」
「……ただの知り合いだ」
「ドタチンの事、すごく嫌ってたよね?」
「……色々と訳がある。いつか、話すべき時が来たら必ず話す。それまで待っててくれ」
「うーん……わかった。ドタチンにも事情があるって事だね!」
「そうだ。あと遊馬崎達に話すなよ?面倒だから」
「わかったわかった。……うふふ」
「な、なんだよ……急に笑って」
「これって、私とドタチンだけの秘密だね!」
「……そう、なるな」
「乃木坂春香の秘密みたいー!」
「はぁ……もう勝手に言ってろ」
雪華の事は心配だが、俺がどうこう言っても解決はできない。むしろ、あいつの心の傷をえぐるだけだ。
できれば池袋にはいてほしくねぇが……
「きっとあいつは、まだまだ居るんだろうな……」
「なんか言った?」
「いや、なんでもねぇ」
俺は雪華に何もできねぇけど、せめて、
あいつの幸せだけは願いたい。
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