「ふむ……困ったな」
何も考えず、折原臨也の前から逃げてきた。半分は計画通りだったが、半分は本気になってしまった。今考えてみても、不思議でならない。どうして、あの時はあんなにムキになってしまったのだろう……。
……ま、後でいっか。もう何を言ったのかも忘れてしまったし。
さて、ここからが本題だ。あろうことか、私は財布をちゃっかり家に置いてきてしまった。これではせっかく逃げてきたのに戻らなくてはならない。
だが、今は絶対に戻りたくない。だからといって野宿などした日には大変な事になるのは目に見えてる。
一応、携帯だけは持ってきてあるからな。前に平和島静雄とセルティさんのアドレスもらったし。あ、セルティさんの家に泊めてもらうっていうのもアリか……。
とりあえず、折原臨也には見つからないようにしよう。
さぁて、池袋の街でも散歩するか。適当に歩いていると、変わったモノを発見した。
「ちょっとぉ、あの時アンタだけ無事だったのってどういうことぉ?」
「もしかして、アンタの差し金だったとかぁ?」
「園原のクセに生意気なんだけどぉ」
「…………」
眼鏡をかけた胸の大きい女子高生が、同じ制服の女子三人に囲まれていた。典型的なイジメ風景である。今でもあるんだぁ……こういうの。暫く観察する事にした。
「さっきから黙っててチョームカつくんだけど」
「何か言えよ」
「そうだ、家連れてってよ。近いんしょ?」
「おっ、ナイスアイデア!」
「じゃあ園原の家に遊びに行くけってーい」
「ついでにお金貸してくんない?今月すごくピンチなんだよねー」
「ずるっ!私も貸してほしーい!!」
キャハハハハハハ、と甲高いで笑い声をあげる三人組。
……見ててすごくイライラする。本っ当、ああいう馬鹿は嫌いだ。
それにしても、園原と呼ばれた少女はさっきから何も反論してないな……。どうしてだろ?まるで、自分の事と考えていないようだ。
うーん……どうするか。見知らぬ少女……っても私の方がギリギリ年上だな。まぁ、私が助けたら泊めてくれるかな?でも、それ程世の中は甘くないよなぁ……。
…………よし、恩着せがましいけど、見ててイライラするから、園原と呼ばれた少女を助けよう。
三人組の背後へと歩いて近付く。相手は気付いてないようだ。
「黙ってないで何か言えよ!!」
「何してるんですかぁ?」
「!!?誰?」
「……ハァ。さっきの少年といい、貴女といい、ほんと礼儀がなっていないね」
「はぁ?何だよ、文句あんの?」
「つか、園原の知り合い?」
「文句は多少アリ。そして園原という少女は知らない。まぁ、ただの通りすがりのお姉さんって所です」
「関係ないならすっこんでろ」
何と言う典型的なギャルなんだ。見てるこっちが笑いたくなる。
こいつらの相手なんて、あの情報屋に比べたらとても簡単。
「関係あればすっこまなくていいんですか?なら私は貴女達と喋った。はい関係できた」
「意味わかんね」
「キモいんだけどぉ」
「そう。だから何?そう言っても何も変わらないよ?もしかして、そう言えば私が怯むとでも思いました?」
「何コイツ、頭大丈夫?」
「その言葉はそのまんまお返しします。私から言わせれば、貴女達の方が色々と心配ですよ?」
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