聞こえてた。嫌でもあれは聞こえるだろう。だって耳元で囁きやがったし。はっきり言って、悪寒が走った。
聞こえたからこそ、ちょっとその辺をフラフラしようかなーって思った。その結果がこれである。非常に残念だ。
「今残念そうな顔しなかった?」
「気のせいじゃない?」
「んー……、ま、いっか。それじゃあ、買い物行こうか」
「貴方の用事は済んだんでしょ?平和島静雄に会いたくないんだから、先に帰れば?」
「心配してくれるの?」
「んなことあるわけないでしょ。ただ貴方が鬱陶しいだけ」
「つれないなぁ……。俺と買い物しよ♪」
すると、折原臨也はいきなり私の右手を握ってきた。
「!!!? な、なな、何すんの!!?」
「え?手繋いでるだけだけど?」
「手を繋ぐ必要なんてないでしょ!?」
「あるに決まってんじゃん。池袋の人間に、俺と雪華は仲がいいって見せびらかすのさ」
「しねばいいのに」
「それ、毎日言ってない?」
「貴方がうざいから」
「愛されてる証拠だよねぇ」
「自惚れるな。さっさと行くよ」
仕方ないので、折原臨也の手を引いてあげる。それだけなのに、何故か折原臨也は嬉しそうに笑っていた。