男と女の声が聞こえた。男の方はハーフのようで、リュックを背負っている。女の方は黒い服に身を包んでいる。
その二人を見るなり、チンピラ達の顔が少し青くなった。
「チッ……今回はこの辺で引き上げてやる」
「覚えてろよ、このクソガキ!!」
そう言い残すと、チンピラ達は逃げるように去っていった。
「いやー、危なかったっすね」
「大丈夫?ケガとかない?」
二人はこちらによってきて、心配そうに私に声をかけてきた。
「ぁ、大丈夫です……」
「それならよかった」
「だめっすよ、女の子一人で路地裏なんて通っちゃ!危ないっすよ!!」
「は、はぁ……」
まさかチンピラが溜まってるとは思わなかったからなぁ……。
「今回は私たちが見かけたからよかったけど、普通なら誰も助けてくれないからね。今度からは気を付けな?」
「そうします……」
「それにしても今回の俺、かっこよかったっすよね」
「自分でそれを言うかな?まぁ、ほんとはドタチンを呼ぶべきだったんだけどねぇ」
「たまには門田さんに頼らず、女の子を救って見たいじゃないすか!」