DRRR!!夢[臨也] 池袋某所・雪華視点 夕闇に包まれようとしている池袋。いつもより人が少ないよりな気がする……。気のせいかな? 街をぶらぶら歩いていると、あるものが目に留まった。細い路地に浮かぶ、見覚えのある人影。 「あれは……」 平和島……静雄。 田中トムが見当たらないところをみると、仕事帰りだろうか? それよりも驚いたのは、平和島静雄の前に立つ女の存在だった。……まさか、彼女……とか? どちらも私の視線には気付いていない。……修羅場?ちょっと面白そうなので、遠目から観察することにした。 それにしてもあの女の人、随分目が赤いなぁ……。カラコンかな? 二人は二、三言交わすと、細い路地の奥へと入って行った。 意外だなぁ、と思いつつ死角に隠れる。二人の会話がかろうじて聞こえた。 「久しぶりね……平和島静雄」 「? 久しぶり?初めてだろ?」 「あら、覚えてないの?」 クスクスと可笑しそうに笑う女。どこか不気味な雰囲気を漂わせる。女の態度に平和島静雄はイライラしているようだ。遠くから見てもわかる。 「何言ってんだ?さっきの事もそうだけどよぉ……人違いじゃねぇか?」 「フフッ……貴方の名前を呼んだ時点で人違いじゃないでしょ?」 「…………」 「単刀直入に言うわね。『母』さんを待たせるわけにはいかないし」 「?」 女の右腕がゆっくりと上がっていく。その手には、カッターナイフが握られていた。 「!!? 手前……」 平和島静雄は苦い顔をした。女は相変わらず微笑んでいる。 「さぁ……貴方の体に『罪歌』を植え付けてあげる」 ……これって、修羅場だよね? [*前へ][次へ#] [戻る] |