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Lapis lazuward
09
「だよな!だよな!それにこの部屋、なんだか落ち着いた雰囲気でなんかいいな!」

部屋の中は、前の住民が置いていったものを含め、俺好みにアレンジされている。

それを褒められるのは、なかなかに……嬉しい。

「どうも」

少し照れたように俺が言い、それに気づいた素振りもなくラグの上に寝っ転がった
桜嘉は、少しため息交じりに

「俺ちょー疲れた。暫く休ませてよ……あ!俺、アンタの名前知らない!」
「いいよ、知らなくて」

俺は良く知っているから。

「なんでだよー!あ、俺は桜嘉な!桜嘉姫でも、桜嘉嬢でもない桜嘉だからな!」

そう呼ばれていたのか……。
男なら、そう呼ばれることに抵抗あるな。

可哀想に

よしよしと、頭に手を当てると恥ずかしそうに「止めろよ、こら!」と言ってきたが
俺は桜嘉が大人しくなるまで撫でていた。

「まあ、いいや。アンタが言いたくなったときで」
「どうも」

諦めたのか、疲れたのか桜嘉はラグの上でごろごろと転がりだした。
なんだ?こいつは。

「どうした?」

俺がそう聞くと、桜嘉はがばっ!と顔を上げて目を爛々と輝かせていた。

「聞いてくれよ!!」

あ。しまった、鬱憤が溜まっていただけだったか。
・・・・・・まあ、聞いてやろうか。

部下の不始末は、上司の不始末ってね。

「なんだ?」
「俺、最初この学校に入れられたとき変な格好にされてさ」

鳥の巣のようなもじゃもじゃな黒髪に、牛乳瓶のような瓶底眼鏡だっけか。
生徒会に報告書が上がってきていたな。

「変な格好なんて正直嫌でさ、なんで俺がこんな格好で!!
って、思っていたんだけど。ちょっと良くない顔見知りが……いっぱいいて」

ちょっと良くない顔見知り=不良やっていた頃の知り合いってことは
この辺り界隈のNo.1 瑠璃の総長と、瑠璃の幹部クラスかな。

「だから、渋々変装するのは納得したんだけど」

でも、お前の変装は三日ともたなかったよな。たしか。

「クラスの連中に”キモい”だの”ガリ勉くん”だのうるせーことばっか言われて、頭にきちまって……」

ああ、すまないな内の学校美意識には煩くて……。

「偶然、すげー黄色い声援が上がってそこにいるのが”鬼神”だって気づいて」

あ、鬼神っていうのは神山会長の総長時代のあだ名みたいなものだ。

俺の通り名の白竜と似たようなものだな。

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あきゅろす。
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