[携帯モード] [URL送信]

Lapis lazuward
07
だん!だん!だん!だん!

連続したなにかを叩く音に驚いた俺は、はっと目を覚まし辺りを見渡した。

ランプの柔らかな光の先に、俺以外の人間が扉の前に立っているのが見えた。

あの扉は、すり抜けるだけでなく内側に入っている場合は外側が見える仕組みになっているからだ。

「誰だ……?」

屋上に行こうとして間違えてこちらのドアを叩いているように見える。
屋上は、そのまま真っ直ぐ出ればいいのに。

それにしても、”何かに追われているような”逼迫さだ。

――まさか。

「レプス?」
「誰かいるのか此処?!助けてくれよ!頼むからさ!!」

ああ、やっぱり……。

小うさぎ(レプス)の後ろから複数人の生徒の姿が見られる。

生徒会が追いかけている兎を捕まえて、
お近づきになろうと考える生徒に追われているらしい兎は

いつの間にかこの場所にたどり着いてしまい、絶対絶命のピンチを迎えているらしい。

仕方ないな……。

目の前で悲鳴を上げられて拉致られるのも、気分がいいものではないし。

説得して、あとで追ってきた生徒会役員にでも引き渡そうと考え
俺は黄色い石を手に持ちながら、扉を叩く桜嘉の手を掴んだ。

「ひぇ?!手だけ出てきた?!!?!?!」
「静かにしろ、気づかれるぞ」

桜嘉の手を引き、部屋の中に入れると息を切らしている桜嘉は肩で息をしていた。

これは、可哀想なことをしたな。

「大丈夫か?」
「ぜぇっ……はぁっ…ぜぇっはぁっ!」
「今、水を持ってくるからちょっと待ってろ」

部屋の中に保管してあるミネラルウォーターを持っていくと、
桜嘉は急ぐようにして一気に飲み干してしまった。

「ぜぇっ、はぁ。……アリガト」
「どういたしまして」

まだ肩で息をしている桜嘉の傍で、団扇を仰ぎながら風を送る俺を
まじまじと見つめる視線を感じる。

いや、見る人間なんて一人しかいないが。

[←][→]
[戻る]


あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!