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CrossRoad
ほんとの温もり

期末テストも終わっていつもの時間割りに戻る――。


クラスの話題も受験の事は少し忘れて夏休みの話で盛り上がる。


いつもと何も変わらない日常の様に見える。


何の荒波もたってない様に過ぎる毎日。



ただ、私は違った――。


めぐとのやり取りがあって以来めぐとは口も聞いてない。


受験の事もあって周りはその事に全く気付いていない。

寛美だけは様子がおかしいのに気付いたが、大喧嘩したとだけしか言わなかった。


そう……。

誰にも言えなかった――。


何よりも信じたくなかった。


私と千晴は別れてない。


昨日の電話でも夏休みに会えるのを楽しみにしてるって言ってくれた。


何も変わってない。



そう思う事でなんとか自分を保ってた――。



一つだけ気になるのは、めぐが電話してるのを千晴が言ってくれない事。


一回だけなのか……。


めぐの口振りじゃ何回かしてる気がする……。


もしかして私よりもいっぱい話してる……?


夏休みにめぐとも会う約束してるかも……。


もしそうだとしても千晴なら言ってくれる。


私も含めて一緒に会おうとするはず……。



でももしめぐの言うように千晴とめぐが付き合ってたら……。



頭を思いっきり振って嫌な考えを吹き飛ばす。


そんな訳ないっ。


めぐの嘘……。


最近不安ばっかりが膨らんでしょうがない。



一人になると気付いたら涙がこぼれる事もあった。



会いたいよ……千晴……。


頭の中はぐちゃぐちゃだった――。






もうすぐ夏休み――。


あと半月我慢したら千晴に会える。


手帳のカレンダーにつける×印が会える日に近付くにつれ、嬉しくなる反面その日までが凄く長く感じる。




「あっ、由依センパーイー。一緒に帰りましょうっ。」


聞きなれた声が後ろから聞こえてくる。


振り返ると晃治くんが走って来ている。



何度駄目って言っても聞いてくれなくてついて来る。


最近は呼び方まで変わってしまった。


めぐと喧嘩した日に見られたのも失敗だったけど、また最近間が悪い時に晃治くんに見られてしまった。


不安に押し潰されそうで泣いてた所をバッタリ出くわしてしまった――。



私が理由を言わないもんだからついてくるのかな?


言ったとしても心配して同じなんだろうけど……。



今日は会わない様にと少し早めに切り上げたはずなのに……。


昨日は一緒にならないようにと思ってわざと遅くまで残ってたのにわざわざ待ってるし……。



晃治くんには二回目泣いてたのを見られた日に告白された――。


ちゃんと断ったのに自分が好きでこっちから帰るんだからって言って聞いてくれない。


私が泣いてた理由を言わないからなんて、ただの口実よね……。


千晴がいたらこんな事で悩まなくていいのに……。



思わず溜め息が出る――。



「もうっ。駄目って言ってるでしょ。」


待つ事はせず構わず歩き続ける。


晃治くんはその後ろをついてくる。


「つれないですねー。勝手にこっちから帰るだけなんだからいいでしょ。それよりも今日面白い事があったんですよっ。」



最近いつもこうして強引についてくる。


確かに晃治くんと話してると楽しくてその間は少しだけ嫌な事は忘れられる。



でも千晴と毎日一緒に帰った帰り道――。

あちこちで色々な話をした事やふざけて遊んで帰った事、始めてキスした場所――。


色んな所で千晴との思い出が蘇ってきて、なんで晃治くんと帰ってるんだろうって思う。


その度にその場で晃治くんを無理矢理帰らせる。



優しくしてくれても私は晃治くんには何も返せない――。






離れていても自分の大好きな人を想い、信じて、不安な気持ちを必死で押し殺して耐える……会えた時の幸せの為に――。


それとは逆にいつも側にいて想ってくれて、優しくて、不安を取り除いてくれる――。



側の温もりなんかよりも、ほんとに自分にとって大事な……大好きな人に想われたい……優しくされたい……。


ただそれだけだった―――――。



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