キミだけを見つめたくて
9
碧理と別れた後、恒司は寄り道することなく家路についた。
既に碧理とお茶したので小腹は満たされていたし特に寄りたい場所もなかったからだ。
ちなみに今は机に向かい勤勉に励んでいる。
端から見れば真面目だと思うだろうが、彼の本心としては課題はやらなくてはならないならやれるうちに片付けておきたいと言うだけで、成績を上げたいや勉強好きと言うわけではない。
課題をやらなかったから居残りさせられるなんて非効率的だから、というものだ。
そんな性格でありながら碧理に恋してしまった自分に自嘲気味に笑ってしまう。
『何で好きなの?』
その問いに答えれたのは少なくても自分でも疑問に思っていたからだ。
効率を優先するあまり、物事を理屈で考えるようになってしまった恒司はこの非効率的なことを理屈で考えずにはいられなかったから。
そもそも彼氏が居る時点で効率的ではない。
言うまでもなく射止める可能性が激減するのだから。
(なんで好きになった、か…)
それは到底理屈で説明できないことなのだろうっと、解釈し視線をノートに戻す。
そう、人を好きになるのに理屈なんていらないのだ。
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