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アイザキガカリ
15
 目立つといっても不良というわけでなく、男子校にいながらも女の子と縁があるようなやつらだ。
 うちの校則はかなり緩い方で、それでもみんなせいぜい髪を染めたり制服を多少着崩したりする程度だが、彼らはピアスをいくつもつけたり指輪をつけたり際立って派手だ。
 俺の前で話すことではないらしく、彼らは相崎に立つように促した。
 しかし相崎は立とうとはしなかった。
「話があるならここで聞く。飯食ってる途中だしな」
 三人は顔をみあわせ、俺はそこに漂う空気を読んで弁当を慌ててしまって立ち上がろうとした。きっと俺がいてはしにくい話なのだろう。
「じゃあ、俺、先に教室もど…うわっ?!」
だけど、相崎に背中からシャツをつかまれ、再び腰をおろすはめになってしまった。相当な勢いだったので尻が痛い。
「お前も聞いとけ。…で、なんだ?」
 三人は相崎の行動にあっけにとられていたようだが、しかたなしというように口をひらいた。
「あのさ、今日F女の子たちと遊びいくんだけどお前もどう?てか、頼むよ」
 F女というのはかわいい子が多いという評判の近所の私立の女子高だ。
 それにしても復学一日目にしてこの手のお誘いがあるなんてさすがとしかいいようがない。
 三人も俺も相崎の返事を待った。イエスかノーかをだ。しかしそのどちらでもなく相崎は俺に向かって言った。
「お前はどうする?」
「は?」
「こいつが行くなら行ってもいい」
 何をいうのか。俺は誘われてもいないというのに。恥ずかしいじゃないか。
「俺はさ、」
 誘われてないからと言おうとすると三人のうちの一人が俺に向かって両手をあわせた。
「市川頼む!助けると思って来てくれ!」
 行きたくない!と瞬時に思った。華やかな奴らと遊んで楽しめるはずがない。気後れするに決まっている。それにきっとたぶん女の子たちにも悪い。きっと俺は何も気の利いたことを話せない。
 首を横に振ろうとすると、手をあわせている奴がすがるような顔をして、俺は断ることもできず、困ったあげく相崎の真似をすることにした。
「た、多田が行くなら俺もいくよ」
 俺は卑怯にも裕介を道連れに選んだ。

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