‡小説‡
『還るべき場所』(6)
…いつの頃だったろう−
同じ制服を纏い、俺達3人はいつも一緒に過ごしていた。
それが、当たり前の光景だった。
「ツナさ〜ん」
「あ、ハル」
「見て下さい!ツナさん!!父に新しいカメラを買って貰ったんです!
これで、いくらでもツナさんの勇姿や、私の変装を写せますよ!!」
「変装って、あれってただのコスプレじゃん」
「え?ツナさんも着たいですか??」
「いやいやいや!俺は着ないからっ!!」
「コラっ!アホ女!!10代目にご迷惑を掛けんじゃねぇ!!」
「ハルはアホ女じゃありません!!
だいたい、アホって言う方がアホなんですよ!」
「んだと〜」
「わー!獄寺くん、ストップ!ストップ!!
ハルも止めろって!」
「10代目ぇ〜」
「ツナさん〜」
「(なんか、似てるなぁ…この2人)」
「ねぇ、ハルちゃん!せっかくだから、みんなで写真撮らない?」
「おぉ、良いなぁ!もうすぐ卒業だし、この制服着るのも最後だしなぁ!!」
「いいね!じゃあ、撮ろうか!!
ハル、良い?」
「もちろんです!ツナさん!!
グッドアイデアです!京子ちゃん!!」
「なぁ、最後に俺達3人で撮んねぇ?」
「え、3人で?」
「おぅ!『俺達は、ずっと一緒だ!』って証しに!!」
「そんな証し残さなくても、俺はずっと10代目の右腕って事は決まってんだよ!野球バカ!」
「え〜、いいじゃん!!撮ろうぜ〜」
「…………
…うん。なんか良いね、そういうの。」
「10代目?」
「ねぇ!撮ってよハル!
オレと、獄寺君と、山本!
『3人』で!!」
「え?3人で、ですか??
分かりました!じゃあ、後で私と京子ちゃんの2ショットも撮って下さいね!!」
「うん、分かった!」
俺達3人はいつも一緒に過ごしていた。
それが、当たり前の光景だった。
ねぇ、10代目。
10代目は、この写真を見せたくて、俺に鍵を渡してくれたんですか?
でも…どうせなら…
10代目と2ショットが良かった…ですよ………
………………
俺は、久しぶりに夢を見た。
同じ制服を纏った俺達3人は、楽しそうに笑っていた。
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