2人きりの部屋。
手を引かれたどりついたのは、ヒロの兄が住むマンションだった。
「…お兄ちゃんに用なの」
近くまでは何度か来たことがあるが部屋に入るのは初めてだ。
「兄貴ゎ昨日から女のトコ行ってるからいなぃ。」
ズボンのポケットから鍵を取り出しながら淡々と答える。
「……ぢゃぁ何しに来たの」
「……。」
首をかしげる悠梨を、ヒロは怒ったような顔で見ながら部屋に入って行った…。
悠梨も慌てて後ろについていく。
「おじゃましまぁす……ぅ…」
部屋の中は、タバコの臭いで充満していた。
散らかった部屋は、いかにも男の人の部屋とゆう感じだ。
「こっち来て」
「ぅん…」
家具も何もない、全く使われていないような部屋に入る。
ヒロは開けたままになっていたカーテンを閉め始めた。
「……(もしかして…ぇっちするのかな)」
鈍い悠梨もさすがにドキドキしてきた。
なんせ完全な二人きりになるなど初めてのことだ。
「…そこ座って。」
「…ぅん」
向かいあって床に体操座りするとヒロは深く息をはき、口を開いた。
「…てか普通にさ…。」
「…ぅん」
見つめあう二人。
ヒロの頬は赤く染まっている。
「ずっと…我慢しとるんやけど…」
「…ん何を」
再び首をかしげられ、ヒロは「はあっ…」とため息をつくと、しばらく顔を手で覆っていた。
「…ヒロ」
「……俺…ずっと悠梨とェッチしたかった…」
そう言うと、再び耳まで赤くしてうつむいた。
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