下校。
放課後になり、いつものようにヒロのクラスの前で授業が終わるのを待つ…。
悠梨は、窓ガラスの向こうでHRを受けながら寝ているヒロを見つめていた。
小学校の卒業式にヒロが悠梨に告白したのが2人が付き合い始めたキッカケだった。
当時ヒロは、茶髪で笑顔が可愛らしい少年だったが中学校に入った途端、その容姿は変貌した。
短ランに腰パン…後ろ髪は長く前髪だけ金髪…。
悠梨の通う学校はそうゆうタイプの子が多い学校だったため、全体的に周りの初経験年齢は低かった。
他のクラスより長めのHRがやっと終わって、頭をポリポリかき、あくびをしながら手ぶらのヒロが出てきた。
「まぢ眠かった…」
「寝てたじゃん」
ははッと笑うと悠梨のカバンをひょいと取り上げ肩にからげる。
カバンに入っているのはプリクラや財布くらいで重くないのにいつも何も言わずに持ってくれるヒロの優しさにキュンとなる…。
もともとピンク色の頬はさらに赤みを増し、ヒロの後を追う。
学校の門を出て二人きりになって意を決した悠梨はヒロの袖口をクィっと引っ張った。
「ねぇ…ヒロ…」
当時のヒロの背は165cmと低めのだったが身長144cmの悠梨からすれば見上げなければ話ができない。
「…ん」
さすがに勇気がいる。
ヒロの顔を見つめた袖口を掴んだまま固まってしまった。
「…何だよ」
足を止めて、いぶかしげな顔をするヒロに一度目をそらしてしまう。
が、勇気を振り絞って悠梨は口を開いた。
「…悠梨とェッチしたいとか思ったこと……ある」
真っ直ぐ見つめるその瞳は恥ずかしさに潤んでいた。
「…っはぁ…」
平静を装おうと、手で口元を隠しているが、ヒロの顔は耳まで真っ赤になっていた。
その反応が可愛らしく、愛おしくなり悠梨の表情が緩んだ。
「…何…にやけてんだよ…」
「…カワィィなぁと」
正直に思ったことを伝える。
上目使いで顔を覗きこまれたヒロは顔を真っ赤にしたまま悠梨を見下ろし、しばらく見つめあっていた。
「……ちょっとこい。」
「え」
急に悠梨の手首を強く掴んで歩きだした。
怒らせてしまったのかと不安になり、悠梨は黙りこんでしまった。
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