商い物
夢のような話など何処にもない・上+
〜注意〜
本作品には、グロ表現・性表現が含まれております。
苦手な方は、戻ることをお勧めいたします。
大丈夫な方は、どうぞお楽しみください!
【人外×巻き込まれ平凡】
ズタボロのオレをさらにどん底に突き落とすのが、転校生の趣味らしい。
転校初日から親友だと連れ回され、転校生に惚れたという人気者やその親衛隊から苛烈なイジメを受け、そして今度は転校生に巻き込まれてのトリップ。
そろそろ死んでしまいたいのに、その暇すら与えてくれない。
トリップ先では、転校生は勇者として喚ばれたのだという。
神官たちは勇者としての教育をしようとした。
けれど、面倒臭がりな転校生は、勇者として鍛錬を怠り、そのまま勇者一行は出立した。
巻き込まれたオレも一緒に…。
魔王城までは、勇者もとい転校生溺愛のため結局レベル上げもほとんどしなかった。
オレはと言えば、左腕食われたり、右目を失くしたり、死にかけながらも生きていた。
それもこれも、旅の途中で出会った金色の鳥を助けたおかげだった。
金色の鳥は、勇者一行の戯れに乱獲された。
転校生はその羽根の美しさに惚れ込み、自分の服を着飾りたいがために羽根をむしろうとした。
巻き込まれるのは、オレくらいで良い。
だから、飯係のオレは食事に眠り草を混ぜて出して、寝こけている隙に金色の鳥たちを逃がした。
その後、死にかけるたびに金色の鳥が現れ、自らの血をオレに飲ませた。
そうすると、何故か血が止まり傷口が癒えるのだ。
痛みは全くないが、欠損した箇所が戻ることもないので、流石に内臓がやられたら無理だろうと思う。
それでも何とか生きながらえ、勇者一行と共に魔王城の最奥、玉座の間へ至った。
それもここまで。
ゾッとするほど美しい漆黒の色を纏う魔王の覇気によって、オレを含める勇者一行は手も足も出ずに捕まった。
牢に入れられ、1日ごとに連れ出されてはぐったりとした姿で戻って来る。
オレの番になって、牢から連れ出されると美しい魔王の前に連れ出された。
「お前、他とは匂いが違うな。」
「な、んのことでしょう…」
「見た目も違うな。片目片腕の傷だらけな凡人だ。」
つう…と伸ばされた指が、眼球のない右の眼窩をずぷりと犯した。
「いぎぃぃいっ!?」
「ハハッ痛いか?そうだな…お前は私の玩具にしよう。」
ずるりと抜け出た指には鮮血がこびりつき、ズキズキと顔面右が痛んだ。
「っなら、殺せ!オレは、オレは…」
ーーー痛いことはもう嫌だ。
金色の鳥たちが、死にかけるオレを助けるのは善意だったのかもしれない。
けれど、死にかけるたびにようやく手にできそうな平穏が、遠ざかるあの時や気持ちは伝わるわけもない。
ずっと巻き込まれてから死にたかった。
それほど辛く、痛かった。
「では、痛みを快楽へと変えてやろう。」
「…い、いや、いやだ…やめ、」
「お前は物だ。拒否権などない。魔物の苗床にしないだけ有難かろう?」
そう笑うと、手をかざしてオレの感覚を塗り替えるよう、魔力を注がれた。
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