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商い物
Just a Game 3

何の因果か得意先と飲む場所が海さんのバーになった。
どうやら海さん目当ての1人らしい。



そして、衝撃の事実を知ることになった。



「淳さんは、奥さんいるんでしょ?いなかったら狙ったのになぁ…。あ、お子さんは?」

「…いますよ。まだ0歳なんです。」

「あら!じゃあ可愛い盛りじゃない。私なんかと飲んでないで、早く家族サービスしに帰らなきゃ。」

「そう、ですね。でも、妻とは上手くいってないので、離婚寸前ですよ。」

「あらあら、大変ね。ねぇ、夏樹くん。」

「ほんと、淳さん家族サービスした方が良いですよ!そうしたら、また奥さんとも会話出来ますよ。」



仕事モードの仮面を貼り付けて、淳さんから告げられなかった事実を、ただの一社員として会話する。
今にも叫びたかった。



ーーーどの口が言うのか。



…と。



淳さんが相手をタクシーで送ってくるから、勘定しといてと言って店から出た。
オレは勘定しながら、唇を噛んだ。



もう無理だ。
もう信じられない。
きっとこの先、淳さんはいろんな秘密をオレには明かさない。
そして、0歳の子供がいるなら離婚も難しいだろう。
オレだけのものになんて、ハナからなる気なんかなかったんだ。



いつかくる日を願ってた。
でもそのいつかは遠いか、死ぬまで来ない。



「海さん、」

「選んだんだね。」

「はい、メモ用紙とペン貸してください。」

「どうぞ。」



オレは短く言葉を書くと、さっきまで淳さんのいた席にそれを置いた。
すごく辛くて、悲しいけど、スッキリはした。
明日からはもうただの上司と部下だ。



「海さん、恋人はいますか?」

「いないよ。でも、好きな人ならいる。」

「それは誰ですか?」

「ふふ…意地悪だなぁ。僕が好きなのは…」



ーーー君だよ、夏樹。



そっと触れられた噛んだ唇。
終わった、終わらせた恋の悲しさに泣いた。
あまりにも傷んだ心のせいで泣きやめず、店をバイトの人に任せて、海さんはオレとバックヤードに引っ込んだ。
そして、閉店したらオレを家まで送ってくれた。
穏やかなキスと抱擁と、スッキリした気持ちに、もう終わった恋への未練はなかった。



だから知らない。
席に戻った淳さんが、オレの書いた短い文を読んで泣いたなんて。



『Just a game.

楽しかったです。さようなら。夏樹』






〜あとがき〜
Just a Game これにて完結です。
初めて書いたMLが不倫ものとはいやはや…。

ちなみにこちらの作品は、同タイトルのボカロ曲から生まれました。
あちらの方は素直になれない2人のお話ですが 笑

補足しますと、淳さんは夏樹くんのことちゃんと好きです。
遊びではありませんでした。
別れる度胸がなかったんです、男前なのに 笑
そして、海さんは淳さんより前から夏樹くんが好きです。
これからはデロデロに甘やかして大切にする事でしょう。

この作品、楽しんでいただけたなら幸いです。
ではまた…。

艶夜

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あきゅろす。
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