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商い物
タイムマシンはどこですか *
【ヤンデレAV男優×平凡】



最近とても困っている事がある。
きっと誰に言っても信じてもらえないんだろう。
冴えない見た目の女なら未だしも、男のオレがストーカーにあっているかもしれないなんて。



最初は、跡をつけられていた。
それも決まって、仕事でテレビ局へ行く時だけ。
そこから帰宅するまで、なんとなーく跡をつけられてる感じがして、振り返ったりして誰がいるのか確認もしたんだけどわからなかった。



次に自宅へのイニシャルのみの手紙。
内容はだんだんと気持ち悪いものになっていった。
最初は可愛いね、とか、いつも見ていたい、とかだったのに、最近のは言葉にするのも憚られる内容で、もう開封せずに捨てている。



んで、ついに昨日、ゾワっとするものがポストに入っていた。
一枚の紙に、



ーーー明日、迎えに行きます。 Y.A



今日はテレビ局へ行く日でもない。
だからストーカーに遭うこともないはずで…。
仕事場からの帰路、オレはビクビクしていた。
でも、電車に乗ってる間も緊張していたけど特に何もなかった。



その代わりなのかなんなのか、あと少しで我が家!と言うところで人が倒れていた。



「ちょ、大丈夫ですか!?」

「み、水を」

「あ、うち直ぐそこなんで!」



グッタリした青年を担ぎ上げ、我が家へ向かう足を進める。
それにしても、この人どっかで見たことあるような…。



帰宅して、青年に水を飲ませるとホッとしたのか、ありがとうと言うと寝息を立て始めてしまった。
今日は暑かったから、熱中症にでもなって倒れてしまったのだろうか?と思って、念のため冷却シートを首筋とおでこに貼っておいた。
それにしてもイケメンだよな…。
ジャピーズにいそうな感じの王子様系イケメンとやらか。
そのままオレは、シャワーを浴びて夕飯を一応2人分作ってから、持ち帰りの仕事もこなして、いつも通り布団へ入った。
その間、客用に使うソファーベッドで眠る青年は寝返りはするものの起きる事はなかった。



オレにとって幸せな日々の最後の日だとも知らず…。



違和感に目を覚ました。
内臓が押し上げられる圧迫感と、ある一ヶ所を通過する度に身体を走る快感。



「あ、やっ!なにっ!?」

「あはっ!ようやく目が覚めましたか、幸仁さん。」

「ひぐっ!あぁあっ!!」

「もう3ラウンド目なのに全然起きないから、ちょっと心配しましたよ。」



グチャグチャと響く粘膜の擦れる音。
理解したくもない現実に愕然とする。
今、まさにオレを犯してるのは、介抱したあの青年だった。



「なん、なんで?なん、でっ!ひあっ」



全部の何故を詰め込んで途切れ途切れに聞けば、至極嬉しそうに笑った。



「だって、幸仁さんすごく可愛かったんです。テレビ局で見かけてから興味持っちゃって、でもそんなに毎日来るわけじゃないから、家はどこだろうなって跡つけたら、時々振り返ってくれるし!もしかして、僕のこと知ってるけど立場上とかもあるから、声かけれなくて足早になったりとか。だから手紙を書き始めたんです。僕がどんなに幸仁さんのことが好きなのか伝えたくて。でも、途中から読んでくれなくなってしまいましたよね。わかってます。幸仁さん、優しいから僕の枷になっちゃいけないと思って、思いを断ち切ろうとしてくれてたんですよね。そんなこと考えなくていいのに。だからね、もう僕が幸仁さんを迎えに行こうって思ったんですよ。ちょっと驚かせたくて倒れてるふりなんかしましたけど、一生懸命僕を介抱してくれて…ふふ、可愛い!幸仁さん、すごく可愛いです。大好きです。」



狂ってる…。
快楽の中でもオレが思ったのはそれだけで、その手の内に落ちたオレはきっと元には戻れないことも理解した。



「あ、そういえば僕まだ幸仁さんに自己紹介してませんでした。正式に付き合い始めたんだから、いっぱい名前呼んでくださいね。あのテレビ局でAV関係の男優をしてる愛染裕二って言います。」



見たことあると思ったけど、そりゃそうだ。
何度か下のお世話になったAVに出演してたんだから。



「これから、幸仁さんが僕のでしかイけなくなるくらい愛してあげますね。」



願わくば、人を拾う前まででいいから時間を戻してください。
切実にお願いします、神様っ!!


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