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興味



「……どうしましょう?」

そう僕は呟く。
目の前には僕より少し大きいシャイロさんが気を失っていた。
全く意識を取り戻す気配はないし、置いていくのもどうだろう、と考える。



思わず、キュッポ達なら絶対見捨てないだろうなぁ、なんて考える。

……仕方ないなぁ。

後から役に立つかも、とシャイロさんを持ち上げる。


「……すごいな」

露わになる左肩の白い肌には複雑な紋章が血のような色で浮かび上がっていた。
こんなの初めてだ。
本当にこの人には、興味をそそらされる。

二刀流なのも、強いことも、この紋章も。爪が僕ら少し違う、深い蒼色で光り輝くことも。



なぜ、男言葉を使い、男のように振る舞うかも。


「ぅ、」
うめき声が上がっても少しも気にかけずに、抱き上げる。
……ほら、やっぱり軽い。


シャイロさんは明らかに女性だ。
細く華奢な体も、高い声も。最初は男言葉で男だと思っていたが、戦闘中に気がついた。
かけ声などは、どうしても地声がでてしまうらしい。



「さ、僕も早く行かないと。」
よいしょ、と通路を走る。
黙々と頂上を目指していると、出口近いのか、明るくなってきた。

「……ぅ、あれ?」

意識を取り戻したらしいシャイロさんは、キョロキョロとあたりを見回した。

「大丈夫ですか??」

「おわっ?!」

ポカンとした顔で僕を見上げるシャイロさんは、少しノーマさんとかぶる。


「なんで、殺さないんだ?」

呆然と聞く彼女に少し返答に困った。
同時に、やはり殺す・殺されるの2択なのかと思う。

理由はない。……というわけでわないけど。
強いていうなら、彼女の爪術のこと。
……それに、後々利用できるかもしれないから。

少し恥ずかしいんだけどな。



「……興味があるんです」

「何?もしかして俺の格好良さ?」

「なんですかその発想」

少し半眼になり、げんなりしているとシャイロさんは目を細めて笑みを浮かべる。


「俺の爪の色だろ?」

「!……ええ」

大抵のやつは、驚くからなとニヒニヒと笑う。

「俺の爪、深海の色だろ?」

「……深海、ですか??深い蒼色でしたけど」

「へへっ!特別なんだ!」
心底嬉しそうに笑うシャイロさんに、少し心臓が跳ねる。

「…と、特別ですか?」

「……ああ。お前らの爪術とは、少し違うらしいんだよ」



「?それは……」

なんですか?と口を開こうとしたときだった。




「シャーリィ!!!!!」

「「?!」」

「ジェイ、下ろせ!行くぞ!!」

「…あ、はい!」

「……ジェイ!しっかりしろ!」



突然のセネルさんの声に気が動転した僕の腕を掴み、颯爽と駆け抜ける彼女はとても凛々しく感じた。






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あきゅろす。
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