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04


「……どういう事?」

驚いたと言うよりも切羽詰まったように言う小町に翼は少し電話越しで身じろいだが、気を取り直し、口を開いた。


『俺の友達がさ、見たんだって…あいつらはアキ兄の事知ってるし間違いないと思う。場所は隣町の廃棄ビルがある所だって……今そっちに車で向かってるから家の前で大地と待ってて』


翼は一息にそう言うと通話を切った。小町は少し思い詰めたように顔を歪ませていた。



「姉ちゃん……」

大地が心配そうに小町に駆け寄る。小町は震えていた。




「っ……。













萌えるじゃないのっ!」


ずってーんと勢いよく大地が地に伏した。小町の顔は素晴らしいほどの笑顔に溢れていた。


「さあ!こうしちゃいられないわよ、大地。車で"子兎のワルツ"に行くのよ!……ああ、敵チームにさらわれたアキくんを助けに鬼塚天馬がそこに乗り込んで…せんぱ、秋人!…みたいな感じで障害を超えて二人の絆は強くなるのよ!あわよくばそこでキスなんかしちゃったりして!ああ萌えるわっ………あら大地、どうかしたの?」


小町が地面に倒れている大地を不思議そうに見て言った。大地はふるふる震えていたが、おもむろに立ち上がって口を開いた。


「どうしたもこうしたもないって!めちゃくちゃシリアスなシーンだったじゃん、今の!それでさっきの台無しだよ!ていうか姉ちゃんはアキ兄ちゃんが心配じゃないの!?」

ふるふると拳を震わせながら言う大地を小町は宥めるような目で見た。


「心配よ?」

「だったら……」


はっきりと目を見て言う大地にふんわりと笑いながら小町は言った。

「でも心配よりも、萌えの方が強いんだから仕方ないじゃない!」



駄目だ、早くなんとかしないと……キラキラした目をしている実の姉を見ながら大地は思ったのだった。




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