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会長さんとメル友になりました。イェーイ。
と、まぁ、冗談はおいといて。いや、メル友になったのは本当だけれども。
友達にとは言ったけれど、ちょっと、色々と、無理があった。主に会長さんの精神面的な理由で。会長さん、緊張しすぎ。まともに会話できない。顔真っ赤で心臓ばくばく。どんだけオレのこと好きなんだよと。
何でこんな平々凡々な奴相手あそこまで緊張できるのか。あの、高スペックの会長さんが。
まぁ、顔真っ赤にして、目ぇ潤ませて、必死に会話しようとしてる姿は可愛い。しかも緊張しすぎで疲れるだろうに、離れようとすると寂しそうにするもんだから堪らない。
思わず頭を撫でてしまうのも仕方のないこと。
でもこのままでは支障があるので、まずは慣れてもらおうと。メールで耐性つけて、それから徐々に。新歓の手伝いが終わって会う機会がめっきり減ってからはそれこそ毎日のようにメールをしている。少しずつ、慣れてきてはきているようだ。
だってね。ほら、最初の内はメールですら緊張してるのがまる分かりだったんだよ。文章がおかしなことになってたり、誤字脱字があったり。
最近ではそう、電話で話したりもできるようになった。声は震えているけれど。
んで、話の内容はやっぱ身の回りのこととかが多い。そうなると自然と生徒会の様子が耳にはいるわけで。
いや、会長さん以外のメンバーとは新歓終わってからも手伝い始める前みたいに一緒に食事したり遊んだりしてるけど。生徒会の話はあまりしないから。遊びメインだからー。
それに頻度減ったし。新歓の次は球技大会。準備大変みたい。まぁ別途実行委員があるから新歓ほどじゃないらしいが。
しかも爽やか君が補佐なったしね。
オレが会長さんと話してると会計がすごく気にしてくる。時によっては邪魔してきたり。転校生君に対する以上に引っ付いていた。そうすると今度は爽やか君の機嫌が悪くなる。何という連鎖反応。
どっちになのかなんて、それまでのことを考えれば分かりやすすぎる。何たって会計への態度が他と同じようで違ったからね。ゲームでは手加減しないし、ちょっとした意地悪してたり。
あげくの果てはいつだったかのホラー映画。しっかり手を握ってた上に会計のことガン見してたからね。テンション上がるって。
けど会計は会長さんにベッタリ。会長さんも会長さんで何か会計のこと下の名前で呼ぼうとしてるし。多分、オレが友達なら〜とか言ったからなんだろうけど。
でも、さぁ。
会長さんが好きなのはオレなんだよ。そりゃ四六時中色恋に現を抜かすなんてあり得ないんだろうけど。でも、他の人の事を気にしてるのは、こう、ねぇ?
たまたま出くわした会計に、意地悪しても仕方がない仕方がない。うん。
これで会長さんに泣きつけば、会長さんが下の名前を呼ぶきっかけになるかなとも思ったんだけれど。ちょっと、あまりに悲壮感漂う表情になったから、つつきすぎたのかもしれない。
でも大丈夫!その後遭遇した爽やか君に焦らせるようなこと言ったら、すっ飛んで行ったから。しかも物陰から見守ってたら、涙舐めとってたからー。
そのまま押し倒してしまえ!
とはいかず、けれど連れだってトイレに姿を消した。一体中では何が行われたのか。気になる。ものすごーく気になる。
でも中の様子を探ることはできず、ただ後日会長さんから下の名前で呼べるようになったとの喜びのご報告が。さらにその後日、爽やか君が会計の部屋を訪れたとの情報が。会計と爽やか君が下の名前で呼び合うようになったとの情報がっ。
そうだよねー。仲いいよねー。何たって付き合ってるって噂あるぐらいだもんねー。
嘘です。そんな噂はありません。
ただ、ちょっと、そんなことを会長さんに言ってみたわけよ。二人の仲が少し羨ましいって寂しがってたから。自分は会計の部屋に行ったことないし、来てもらったこともないって。
あの二人は友達だとか先輩後輩だとかじゃなくて、恋人同士なんだよ。友達である会長さんとはまた違った関係なんだよという意味で。フォローのつもりで。
そしたら、会長さん曰くその噂は誤解だと。
えー?あんなんなっててまだくっついてないのかよとの驚きはもちろんのこと、会長さん、本人に確認とったのかとの驚きもあった。
隠してるとか誤魔化したとかは恐らくない。だってあの会計にそんな高等な真似できるわけがない。会長さんが隠すように頼まれたってのは………どうなんだろう。
いまいち、よくわからないんだよな。
会長さん、オレと話してて頭一杯になってても口を滑らせたりすることがない。気がする。どうなんだろ。
まぁ、この件に関してはその他から仕入れた情報から、付き合ってないって裏はとれたからいいんだけど。そもそも、会計と爽やか君も、くっつくならくっついたで楽しいな程度で割りとどうでもいいんだけど。
球技大会ん時にさ、ちょうど会計が先輩に呼び出されてるのを盗みぎ……げふん。小耳に挟みまして。告白イベ来たーってんで、観察してたのよ。くっつくなら別に相手誰でもいいし。会長さんでなければ。
断るんだろうなぁとは思ったけど。したら爽やか君に遭遇してさ。告白現場見せたらまぁ、怖い顔なって。抱き締められるの見たら駆け出すんだもの。おいしいよね。ごちそうさまです。
すわピンチという時駆けつけて。これでときめかないわけがない。涙舐めとってキスして抱き締めて。これでくっつかないなんてあり得ない。と、思ってたのに何でかこの後距離できてた。
なーにやってんだか。
「………そういえば、喧嘩してるっぽいこと言ってたけど、まだ続いてる?」
「っ!?あ、いや、その、な、仲直り、できた、らしい」
「そう。よかった」
「あ、ああ」
やっぱ直接会うとなるとまだ緊張するみたいだなーと、目の前の会長さんに笑いかける。
球技大会終わったら一緒に勉強しようと約束してて、少し間があいてしまったけど今こうして向かい合っている。場所は、まわりに人がいない方がいいだろうと会長さんの部屋で。
「き、きき、北、村」
「ん?何?」
名前を呼べるようになったのだから大した進歩だろう。まだ、吃りはするが。
何か言いたそうに視線を泳がせる会長さん。焦らせることはぜずに、微笑を浮かべたままわずかに首を傾け続きを待つ。
「そ、その」
「うん」
「そ、その内、耳に入ると、思うんだが、心配かけたし、先に言っとく」
「ん?」
「あー…っと、その、前に言ってた噂、本当になった」
言いながら、会長さんの顔がじわじわ赤くなっていった。
「噂?」
この流れで出てくるのってアレだよね。うわぁようやくか。それにしても会長さんウブ過ぎ。友達に恋人で来たって話なのに赤くなり過ぎ。
それとも好きな相手に恋ばな振るんで照れてんのかな?かーわいい。
「か、かのとと、秋吉の」
「あぁ、そうなんだ。おめでとう」
「あ、ああ」
にこやかに、祝辞をのべる。
「入学してまだそんなにたってないのに、染まるの早いね」
「そ、そうだな。……あ」
「ん?どうかした?」
「いや、その……き、北村、は、その、そういうのに、抵抗、ないか?」
そういうのって、同性愛のことだよね。オレが平気かどうか、それはものすごく気になるんだろうね。会長さん。
「うん。ないよ。慣れたってより、元々そういうのは個人の自由だと考えてたから。静癸は?」
「オ、オレも、同じだな」
「そっか。じゃあお揃いだね」
「お、おそろ……っ」
にっこりと笑いかければ、会長さんは顔をますます赤くさせた。
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