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Confusion!!(修正前)
4.
記者さんらしき男の人は、門田さん達に一瞬だけ眼を向けると、そのまま物凄い勢いで包丁を横に凪いだ。


「うおッ!」


門田さんの鼻の先をとんでもない勢いで切っ先が通り過ぎる。
その勢いのまま、包丁をバネ人形のごとく振り続ける斬り裂き魔。
記者の人は既に私や門田さん達を見てはいない。
包丁の軌跡で自分の周りに球体の空間を作りながら、ゆっくりとその空間を杏里ちゃんに押し付けようとする。


「やめろバカ!」


門田さんが斬り裂き魔に突進しようとした時ー

彼の真横を『影』が通りすぎた。

エンジン音すらも消し去ったセルティさんのバイクが、勢いのついたウィリー走行で斬り裂き魔にのしかかる。
刃物が飛び交う『球体』の範囲を、タイヤの裏で無理矢理押しつぶし、そのまま記者さんらしき男の人をも下敷きにしてのけた。

目の前で連続して起こるアクションシーンの連続に、杏里ちゃんも私もその場から逃げ出す事も忘れてしまっていた。


「あッ……」


杏里ちゃんが驚きの声を漏らす。
助けてくれた人が首無ライダーだという事に気が付いたのだろう。
バイクはそのまま男の人の上を走り越え、少し離れたところに停車する。
二人乗りをしていたようで、セルティさんの後ろから、バーテン服を着た男性がゆっくりと地面に降り立ち、続いて運転手であるライダーもバイクを降りてこちらに向き直った。


「首無ライダー……と、……静雄!?」


セルティさんの背後にいたバーテン服の黒シルエットを見て、門田さんが思わず声をあげる。
でも、彼が『静雄』という名前を告げた瞬間ー地面に倒れていた斬り裂き魔が、勢い良く飛び起きた。


「!?」


呆気に取られる私達の前で、男の人は静かに言葉を紡ぐ。


「静雄……あなたが、平和島静雄なのね?本当に、あなたが……そうなのかしら?」

「「え……?オカマ?」」


私と門田さんの声がデュエットする。
もしかしてこの記者さんってそういう趣味があったのだろうか。


「女装してるわけじゃないからオカマとかニューハーフとは違うよ、ドタチン、みのっち」


狩沢さんが冷静な意見を言うけれど、誰もそれを褒める人はいない。
こんな状況だから当たり前だけど……


「会ってみたかったのよ……とつてもとってもとってもとってもとってもとってもとってもね……ウフ」


外見は男の人……しかも、あの時の新聞記者さんなのに、話す言葉は完全に女性口調だ。
でも、それ以上に違和感を感じさせたのはー車とバイクにそれぞれ撥ねられているにも関わらず、その言葉には微塵もダメージを感じさせていないという事だ。

名前を聞かれた静雄さんは、そのまま静かに一歩踏み出し、言葉を返す。


「わかった。殺す」

「嬉しいわ……とうとう会えたのね。私の愛する人」

「嬉しいか、じゃあ殺す」


ー話、かみ合ってないんですけど……

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