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Confusion!!(修正前)
3.
停車したバンから数人の男女が降りてきた。


「死んだかな?
……って、あれ!?みのっち!?」

「わわっ珠音さん!
お久しぶりっす!」

「狩沢さん、遊馬崎さん!
お久しぶりです」


ああ、思い出した。あのバン、ワゴン組の皆さんのバンだ。


「それよりみのっち、どうして此処に?
イザニャンのとこで同棲してたんじゃないの?」


狩沢さんが斬り裂き魔を無視して話しかけてくる。
てか、イザニャンって誰。
もしかして折原さんの事?
『イザイザ』はともかく、イザニャンって……
私は一瞬苦笑いを浮かべたものの、狩沢さんが『同棲』という語弊を含んだ物言いをした事に気が付いて、慌てて両手を突き出して全否定した。


「かッ狩沢さん、私別にあの人なと同棲はしてないですよ」

「えー、だって一緒に住んでるんでしょ?イザイザと。
性別の違う年頃の男女が一つ屋根の下で暮らしてたらそれはもうー」

「かっ狩沢さん!」


これ以上狩沢さんが話すとマズイと思った私は、思わず狩沢さんの口を塞いでしまった。
そして、小さく溜息を吐いて言葉を紡ぎ出す。


「……あの人と私が今一緒にいないのは……まあその、一言で言えば、ちょっとした反抗期って奴ですよ」


狩沢さんの口から手を離してそう答えると、狩沢さんは「青春だねえ」と言って私の肩をぽんと叩いた。


「それにしても、酷い人っすよ門田さんは!人が平穏に生きたいって言った直後にこの仕打ち!」


遊馬崎さんが嘆いている中、門田さんだけが緊張した面持ちで道路の先に眼を凝らしている。
今彼に挨拶するのは申し訳ない気がしたので、私も門田さんに続いて横たわっている男を見つめた。
男に大きな外傷は無いようで、アスファルトに血溜まりができている様子は見られない。
右手には長い包丁。
刃渡りは30センチ以上ありそうだ。
それを見て、門田さんが静かに呟いた。


「なるほど……ありゃーちょっと短すぎるが、混乱してる素人が日本刀って見間違えてもしゃーねーやな」


あ、そうか。斬り裂き魔は日本刀で人を斬るって話だったっけ。

そう思った時ー不意に、男の人が起き上がった。


「!」


ムクリと起き上がるシルエット。その左腕は、妙な方向にねじ曲がっている。
そして、残った右腕で手に持った包丁を握り締めたまま、血走る眼でー杏里ちゃんを睨み付けた。

あれ?
あの男の人って……
こないだ静雄さんに飛ばされてた記者さんじゃ……?


「おい!?」


私達は杏里ちゃんの方へ足をぎこちなく動かす斬り裂き魔に呆気にとられたけれど、そんな中で門田さんは即座に状況を判断すると、男を止めようと駆け出した。

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あきゅろす。
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