Confusion!!(修正前)
2.
「愛峰先輩、私の話、聞いて貰えませんか?」
夜の街を歩きながら、杏里ちゃんは唐突に語り出した。
「勿論いいよ、私でよければ。
どうしたの?」
「……先輩は、那須島先生、って知ってますか?」
「……ごめん、誰だろう。わかんないや」
「1年C組の担任の先生なんですけど……最近様子がおかしいんです」
「様子?」
「はい」
杏里ちゃんはコクリと頷いた。
彼女の話に寄ると、那須島先生は、教え子の人に手を出したとか、セクハラをしたとか、様々な噂が渦巻いている教師らしい。
杏里ちゃんは先日、「噂は大半が噂だが、教え子に手を出していたのは本当だ」という話を紀田君から聞いた。
そして今日、杏里ちゃんは那須島先生に、手を出した教え子の人について遠回しに尋ねてみた。
すると、那須島先生の態度が劇的に変化したらしいのだ。
「実は今、那須島先生の教え子の人……ええと、贄川春奈先輩っていうんですけど、その人を探していたんです」
杏里ちゃんは言う。
「そうだったんだ……その、贄川さん?は、今はもう来良には通ってないの?」
「はい。今はこの近くの高校に転校したらしいんですけど……」
そこまで言って、杏里ちゃんは固まってしまった。
「?」
私が不思議に思って周りを見渡すと、今私達がいる場所は、杏里ちゃんを虐めていた女子生徒が斬られた場所である事に気付く。
アスファルトに眼を落とすと、当たり前の事だけど、もうそこに血の跡は残っていなかった。
暫く互いに無言で立ち止まっていると、私は杏里ちゃんの背後に一人の男性が立っているのに気が付いた。
男は懐から刃物を取り出し、音も無く杏里ちゃんに一歩近づく。
そして、そのまま刃物を夜空に高く振り上げー
「杏里ちゃんッ、避けて!」
私がそう叫んだと同時に、激しいクラクションが聞こえた。
慌てて塀に背中をつける杏里ちゃん。
私も彼女の横に移動する。
ヘッドライトの明かりの方に眼を向けるとー
そこには、一台の大型バンが。
そしてーその正面にいたのは、先ほどの男性。
その男の目はー真っ赤に染まっていた。
あれってもしかして……
斬り裂き魔!?
「……!」
杏里ちゃんが息を飲んでいるのが解った。
そして、私が現状を把握したその時ー
一片の容赦もなく、バンが斬り裂き魔を跳ね飛ばした。
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