[携帯モード] [URL送信]
 

七夕の話。
メインカプ(?)4つ!


ムヨ班




ロイドが広場に通り掛かると、ムヨが座り込んで空を見上げていた。

「何してんだ?ムヨ」

「あ、ロイド。今日って七夕なんでしょ?」

「ああ!」

「織り姫と彦星が会えるのって今日だけなんだよね?」

「そうだな」

「無事に会えるといいな、と思って」

そう言って空を見上げるムヨはいつものような元気な少女じゃなかった。

「よくそんな話知ってるな」

「うん。アニーから聞いたんだ」

「そっか。……会えるといいな」

「きっと会えるよね」

そう言ってムヨはにっこり笑った。

「そうだ!ムヨ、リオンとルーク呼んでこいよ!」

「え?」

「みんなで願い事しよう!な?」

「うん!じゃあボク、呼んでくるね!」

「おう!」

ムヨはすっかり元気になって走って行った。

「バカじゃねぇのか」

「チェスター」

「わざわざ恋敵を呼ぶ必要なんかねぇのに」

「だって、それじゃフェアじゃないだろ?」

「あの二人にそんな心があるとは思えないけどな」

「いいんだよ!ムヨが元気になったしな!」

「……お前、絶対損するタイプだぞ」

そう言って呆れるチェスターにロイドは笑って「そうかもな」と返した。




「あ、いたいた!リオン!」

「!ムヨ」

自分のほうに走ってくる少女に思わず笑みを浮かべそうになった。

が、首を振って表情を変えた。

「何か用か?」

「一緒に願い事しよう!」

「願い事?」

「うん!今日は七夕でしょ?」

「ああ、そういえばそうだったな」

「だから願い事しよう!ね?」

「ど、どうしても言うのなら…………行ってやらないこともない」

「ホント?ありがとう!じゃあアイリリーの広場のロイドのところに行ってて!ボクはルークも呼んでくるから!」

「えっ?」

「え?」

「……いや、なんでもない。了解した」

「じゃあまたね!」

「……アイツはどこまでも甘いな」

走り去るムヨを見ながら呟いた。




「アニー!」

「あ、ムヨさん」

「ルーク知らない?」

「ルークさんですか?多分、クエストを終えていらっしゃると思いますよ」

「そっか!ねぇ、ガヴァダには短冊とかないの?」

「今、この町にはそんな余裕なくて」

そう言ってアニーは苦笑した。

「じゃあアニーの分もボクが書いてあげる!」

「え?」

「言って!ね?」

「ありがとうございます!では、皆さんが怪我をせずに健康でいられるようにとお願い出来ますか?」

「任せといて!」

「あーっ!!ムヨじゃねぇか!!」

「ルーク!よかった!探してたんだ!」

「なんだよ?」

「一緒に願い事しよう!」

「は?」

「今日は七夕でしょ?だから一緒に短冊に願い事を書こう!」

「ああ!」

「じゃあ早速アイリリーに行こう!」

「ああ!」

「早くしないとロイドとリオンが待ってるからね!」

「はぁ!?アイツらもいんのかよ!!」

「え?うん」

「はぁ……やっぱりか」

「どうしたの?早く行こう!」

「あ、ああ」

「じゃあねアニー!」

「はい!お願いします!」

走って出て行った二人を見てアニーはくすりと笑った。

「ルークさんは本当に報われませんね」




「ただいま!」

「おう!おかえり!」

「仕方ねぇから来てやったぞ」

「偉そうだなルーク……まあいいや。ほら、短冊」

「あ、ロイド!2枚ちょうだい!アニーの分もボクが書くの!」

「おい、ムヨ」

リオンがムヨに短冊を渡した。

「ありがとう、リオン」

そう笑ってからムヨは「忘れちゃう!」と言いながら慌てて書き出した。

「よし!アニーの分!」

「ほら、貸せよ」

「あ、ありがとルーク」

ルークがムヨから短冊を受け取って笹に吊るした。

「みんなはなんて書くの?」

「ムヨといれますように!って」

「ヤダなぁ!ルークったら!」

「そんなの言えるわけがない」

「なんだよ。言えないような願い事なのかよ?」

「そうじゃない!!」

「ロイドは?」

「俺も言いたくないな」

「えいっ!」

「あ!」

ムヨがロイドから短冊を奪い取った。

「織り姫と彦星が会えますように?」

「ぶっ!」

「だっせー!!」

「笑うなよ!俺は真剣なんだぞ!」

もめる三人。しかしムヨは笑わなかった。

「ロイド、ありがとう」

「え?」

「ボクのため、でしょ?ありがとう!」

「……ああ」

「は?何が?なんでだ?」

「秘密!えいっ!」

「わ、やめろ!」

「…………リオン大好き!」

「!」

そう言われて真っ赤になるリオン。

「なんて書いてあったんだ?」

「この先もコイツらといれますように!」

「俺もお前が大好きだ!リオン!」

飛び付こうとしたロイドを慌てて避ける。

「う、うるさい!忘れろ!」

「ムヨはなんて書いたんだよ?」

「ボクは大切な人達が笑顔でありますようにって」

「なんだ。つまんねーな」

「つまんないってヒドいなぁ。それよりルーク!ホントはなんて書いたの?」

「げっ!バレてた!」

「もらった!」

「バカ!返せよロイド!」

「ムヨの願い事が叶いますように」

「だーっ!読むな!聞くな!忘れろ!」

「ルーク大好き!」

ムヨ、ロイド、ルークが騒ぐのを見て、リオンもコッソリ笑った。
























[*前へ][次へ#]

第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
無料HPエムペ!