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七夕の話。
メインカプ(?)4つ!


リドルキ




「今日は七夕なんですよね」

「ああ、そうだな」

「今年は晴れですかね?」

「どうだろうな」

「夜、晴れるといいのですが……」

そう呟くルキを見て、リッドは食べるのをやめた。

「どうした?」

「あ、えっと……」

ルキは少し恥ずかしそうにしながら話し出した。

「織り姫と彦星の話を本で読んだんです」

「ああ!そんなのあったな」

「一年に一度なのでしょう?今夜会えなければまた来年になってしまいます」

「そうだなぁ」

「私だったら、一年に一度なんて耐えられません」

「……ルキ?」

「リッドに、一年に一度しか会えないなんて……」

そう言って俯くルキにリッドは笑った。

この少女は、なんて可愛いことを言うのだろうか。

「俺も一年に一回なんて耐えられねぇよ」

「リッド」

「なら、せめて今夜は晴れるといいな」

「はい」

ルキはそう言って笑った。




ガヴァダで星を見ようと言い出したのはリッドだった。

「ルキ」

「あ、リッド!」

「晴れたな」

「はい!」

嬉しそうに笑うルキ。

「じゃあちょっと着替えてこいよ」

「え?」

「ルキさん、こっちです!」

「あ、アニーさん!?」

「ほら、リッドも!」

ムヨがリッドを引っ張って連れて行った。




「リッドカッコいい!」

「そうか?」

「うん!すごくカッコいいよ!」

「そんなに言われるとなんか照れるな」

「ほら、ルキさん!恥ずかしがらないで!」

ルキはなかなか現れない。

「もう!ルキったら!」

ムヨが二人のほうに走って行く。

「わっ!ムヨ!?」

「ほら!」

ムヨがルキを無理矢理押した。

「あ、リッド……」

「ルキ……」

リッドは思わず見とれてしまった。

ルキは織り姫の格好をしていたのだった。もちろん、リッドは彦星だ。

「ほら!言ったじゃないですか!リッドさんが惚れ直しますよって!」

「そ、そんなこと……」

「ああ、そうだな」

「リッド!もう……私だって、惚れ直しましたよ」

「そうか?ありがとな」

「それで、これは何なんですか?」

「ガヴァダでは七夕を楽しむ余裕がないらしいんだ」

「それで、お二人に織り姫と彦星の役をやってほしいんです」

「え!?」

「台詞等は私が読み上げるので大丈夫ですよ」

「レド兄とカノンノでもいいんだけど、やっぱり二人で正解だったね!レド兄じゃこうもかっこよくはならなかったよ!」

ムヨがそう言うのでルキはもう一度リッドを見る。

確かに、かっこよかった。

「じゃあ、よろしくお願いしますね」

そうして劇は始まったのだった。

ガヴァダの子供達はもちろん、大人達も見に来ていた。

アニーの読み聞かせに合わせて二人が動き、たまにムヨがカンペのようなもので指示をした。

「そうして今日、二人は会うことが出来るのです」

アニーがそう言うとムヨが慌ててカンペを出した。

『ルキ、リッドに抱き付いて』

「え?」

思わず声をあげてしまったルキ。

『早く!』

しかしルキは恥ずかしくて動けない。

リッドはため息をつくと喋り出した。

「一年に一度だけ、だ。せっかく会えたんだぜ?」

「あ、はい」

「一年も会えなかったんだ。考えてみろって?辛くなかったのか?」

ルキはそう言われて考えた。

もし、リッドに一年に一度しか会えなかったら。

ルキはリッドに飛び付いた。

「辛いです……そんなの辛いです!でも、一年に一度だけでも、会えてよかった……」

「ああ」

「よっ!流石本物カップル!」

ムヨがそう叫ぶとあちこちから拍手が興った。

「リッドさん、ナイスアドリブでした!」

「ああ」

「助かりました」

「……今頃、織り姫と彦星も会ってんだろうな」

リッドが空を見上げて呟いた。

「はい!きっと!」

ルキは嬉しそうに笑った。




「楽しんでもらえてよかったな」

「はい。お役に立ててよかったです」

片付けも終わって、二人は空を見ていた。

「なぁ、ルキ」

「はい」

「願い事はしなくてよかったのか?お前、してないだろ?」

「リッドだって」

「いや、俺はいいよ」

そういうの柄に合わないしな、と苦笑した。

「そうですか」

「でも、お前はよかったのか?」

「……いいんです。世界の危機に不謹慎かもしれませんが、私は今のままで十分幸せです」

ルキはそう言って笑って、リッドの頬に口付けた。

「そっか」

「はい」

二人はしばらく空を眺め続けた。
























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