七夕の話。
メインカプ(?)4つ!
アルアーとアルティア
「何してるんだ?アーチェ」
広場にいるアーチェに声を掛けた。
「何って……今日は七夕じゃない!短冊飾ってるの!」
「タナバタ?」
「えーっ!?アル、アンタ七夕知らないの!?」
「知らないな」
「願い事を書いて笹にぶら下げるのよ!」
「そういうものなのか」
「アルも書く?」
「いいのか?」
「うん!はいっ!」
アーチェに渡された短冊を見つめるアルク。
「何書くの?」
「迷ってる。アーチェはなんて書いたんだ?」
「教えなーい☆」
「そうか」
「何よ!つまんないヤツね!」
「自覚は出てきた」
「ムカつくヤツね!」
「書けたぞ」
「なんて書いたの?」
「アーチェの料理が上手くなりますように」
「余計なお世話よ!」
「それから、ずっと、みんなとこのままでいたい」
「……2つもなんて意外と欲張りね」
「1つなのか?」
「まあ普通はね。2つ目は消しても大丈夫よ」
「なんでだ?」
「だって…………あたしが書いたもん」
目をそらして言うアーチェをぽかんとして見るアルク。
「……アーチェにも、そんなところがあるんだな」
「ちょっと!どういう意味よ!」
「じゃあ僕の願い事はアーチェの料理のことにしよう。深刻だからな」
「失礼ね!」
「そしたら、僕に作ってほしいな」
「失礼なことばっか言ってるヤツになんか作ってやるもんですか!」
べーっと舌を出すとアーチェは箒に乗って飛んで行った。
「あら?アルク」
「ティアも願い事か?」
「願い事?」
「今日はタナバタというイベントらしい」
「そうなの?知らないわ」
「アーチェが言うには、短冊という紙に書いて笹にぶら下げるものらしい」
「アルクは書いたの?」
「ああ。ティアも書くといいんじゃないか?短冊ならそこにあるみたいだ」
「そうね。せっかくだもの」
そう言ってティアは短冊を書き出した。
「なんて書くんだ?」
「やっぱり、元の世界に戻れますように、かしら」
「……そうか」
「書けたわ」
ティアが顔をあげると、アルクは切なそうに笑って言った。
「早く、戻れるといいな」
ティアは笹に短冊を下げながら返事をした。
「ええ、そうね」
その時のティアの表情は、彼女の長い前髪でアルクには見えなかった。
「みんなの願い事、叶うといいわね」
「ティア、本当はなんて書いたんだ?」
「え?」
「違うんだろ?」
「……バレてたのね」
ティアは苦笑した。
「もう少しだけ、ここにいたい」
「え?」
「おかしな話だけれど……私は、ここにいたいわ。ルークには、申し訳ないんだけれど」
「いや。ルークも、ここにいたいんじゃないか?」
「……それもそうね」
ムヨに夢中なルークを思い浮かべて二人は笑った。
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