Long 『HUNTER×HUNTER』
4
「どっちだっけ?」
「あっち」
しばらくはあの街で色々とチャレンジして楽しんでいたけれど、ある程度カードも集めて満足したし…俺達は次の街へと向かう事にした。
偶然店から出てきた人から地図を頂戴したものの、結局安い方の地図だった。
まあ、仕方ないからそれで我慢して、NPC?に聞いたり、情報を買ったりした。
・・・いくらNPCでも負けてくれてもいいと思うよ(笑)
とりあえず、妥当に魔法都市マサドラへと行ってみようとなったのだが…
・・・カード盗んでも良いかな…
しばらく森を進んでいたら、飛び出してくる幾つかの影。
えっと…山賊ですか。
「何、これ」
「さあ」
素敵なジャンピング土下座。
山賊サン達はあたかも俺達を襲うかのように飛んできたけれど、そのままの勢いで深々と土下座をしてしまった。
助けてと頭を下げる彼らは額を地にこすりつけながらも、げほげほと咳き込んでいる。
あ、そういう事か…
「イベントかぁ…どうする?」
「あんまり興味ないなぁ」
「んじゃ、行こ」
所為込む彼らを無視して進もうとすると、彼らは縋るようにこっちへと寄ってきて再び頭を下げる。
でも残念ながら…女でもないキャラを助ける気はない俺は、隣を歩くヒソカを追いながらも彼らに笑いかける。
段々と泣き出してしまった彼らを見おろしながらも、ヒラヒラと手を振って再び歩き出した。
「ごめーんね。バイバーイ」
「気になるのかい」
「別に?ただ、あれもカードになるのかなーって」
ヒソカの曖昧な返事を聞きながら、傍に落ちていた小石を拾い上げる。
しかしそれも直ぐさまカードにかわり、元の形は写真のように写し出されているだけ。
暫くそのままカードを弄っていれば、再び可愛い音を立ててそれは元の小石へと姿を戻す。
それを手のひらで弄びながら先へと進むと、暫くして丁度良い気が見つかる。
そこに空いた小さな穴へと向かって小石を振りかぶって投げると、穴の縁にあたって跳ね返ってしまった。
「ちぇー」
「ハズレ」
隣でくっくっくと笑うヒソカに、それまでよりも更に悔しさが込み上げてきてしまう。
むすっとしながらそう告げると、ヒソカはより一層笑みを深くした。むかつく…
「う、うるさいなーっ!たまたまだよ!」
「あれが怪物?」
「たぶんね」
目の前に現れたのは一つ目の巨人…ぶんっと大きく棍棒を振りまわしたり、同じ動きを立てに行って振り下ろしたり…
避けながら見ていたけれど、動きは他にパターンがないらしい。
つまらなくなって、剥き出しのままのどでかい目を蹴って次の奴に飛び移る。
巨人の弱点は目だったのか、一撃でカード化する程のダメージだったのか、蹴るたびにすぐにカードになっていく巨人…
辺りの巨人が一通りカードになったのを確認すると、なんとなくそれを拾い集めながらヒソカに歩み寄る。
とんっと着地したヒソカは『一つ目巨人』と見た目通りの名を書かれたカードを器用に手の上でくるくると回している。
「売る。ブック」
「真面目にプレイするのかい?」
「んー…まあ、少しは、な」
ヒソカに手を出してカードを受け取ると、それを順にフリーポケットに嵌めていく。
けれど幾つか間に合わなかったらしいのは、いきなり元のサイズに戻ってしまう。
サイズだけなら俺達なんてぷちっと指でつぶせてしまいそうな大きさのそれらが一瞬で元のサイズに戻った所為で、凄い迷惑。
元に戻る瞬間は避けたけれど、さっきまで俺達が居た所には巨人の山…気持ち悪い事この上なし。
「あれってどうなるのかな」
バインダーをしまいながらも、山になった巨人達を眺める。
一度カードからアイテム(この場合は巨人か…)に戻った物を再びカードにするには、何かのスペルがない限り、再びカードにする事は出来ないという。
なら、あいつらが気が付いて次のプレイヤーに襲いかかった場合、あいつらはカードにならないという事だ。
うーん…
敵キャラの場合は気付いたら消えるか、再び倒したらカード化が出来るようになるか…かな。
「まいっか」
「ユウキ」
ヒソカに名前を呼ばれてバインダーから顔を上げると、ヒソカは先をくいっと指差していた。
その先には確かに見える…未来空間・・・?
色んな色で色んな模様の球体が浮いていたり、重力無視でほっそい棒から生えていたり…
あまりにも不自然な建物だが、魔法都市だと言うのならそれもありえるのかもとか、ゲーム内だからかもとか…面白そうだ。
「派手だなー…」
「ボクは結構好きだよ」
「・・・派手好き」
悪かったな!地味で!
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