NARUTO
煙管
細い手足をシーツに擦り付けて身じろぐナルト。昨晩の寝乱れた時間を物語るように、その肌にはあちこちに赤が浮かんでいる。
長い睫が震え、瞼が開かれると、いつでも濡れたような青い瞳が現れた。
「起きたのか?」
衣擦れに気付いたシカマルは、月見窓の窓辺に腰かけて視線を向ける。
『・・・着ろよ』
「やだ」
着流しを着ているとは言え着くずれと色気を感じるからこそ、寝起きのナルトには刺激が強すぎた。
『・・・風邪、引くぞ』
「やわじゃねえよ。・・・そう言うお前は」
シカマルは見透かしていてにやりと笑った。
「慣れろって言ってるだろ」
『な、にを・・・』
長い足で歩み寄ると、ナルトは焦りをうかべる。タオルケットをもったまま、後ずさっても、虚しく壁に当たるだけ。
「逃げんなって・・・」
面白そうに笑い、足元からするりと伸びてくる長い指がむき出しになっている脛に触れた。ナルトが動揺していると、その大きな手のひらは這い上がってくる。
『くっ、すぐっ、て・・・っ』
「風邪ひくの、ナルトじゃないのか?」
『触んなってばーっ!』
好きで寝転がったままでいるわけないのに、とナルトは顔をしかめる。
腿にまで上がりつめた手のひらはナルトが身に纏っているタオルケットを剥がす。
『やだ、なにす・・・っ』
身に纏うものが無くなり赤面するナルト。
この恋人と濃密で甘い時間を過ごすようになってからは、以前から任務で忙しくすれ違う事が多く
お互い休暇が重なった時ときたら、昏倒するまで求められ、翌日になると大抵は腰が抜けて思うように動けない。
「−−ん?」
覗きこむと、頬の熱は火照るナルト。
いつもなら切れ長の瞳は鋭い印象で、瞳を伏せれば威圧的なまでに端正な顔立ちは、今はおそろしく甘い。
『ずりいよ・・・』
こんな顔で、こんな瞳をされて触れられて、どう抗えるというのだろう。
朝だというのに甘くいやらしい空気が流れる。
ナルトは畳の上に置かれた煙草盆に気付く。いつもなら灰皿を使うのに、煙管を吸う者が使うそれが気になった。
『煙管、吸ってた?』
「煙草が切れてたから」
言うと手を伸ばして刻み煙草を湿らせてある容器を取る。指で丸めて、煙管を取り火皿に詰め吸い口を咥える。
『・・・・・・』
その動作を見つめていると、火を点けゆっくり吸っている。煙管が煙草独特の匂いではないのは、ガマブン太が吸っているから。
親分肌でいつも咥えているそれが格好良いと思っていて、ナルトは以前ガマブン太に似合う煙管をプレゼントしたことがあった。
煙草の時とは違い、煙管を持つ姿が似合っていて瞳を細め煙を吐く唇が色っぽい。
こんなの外で吸われたらたまったもんじゃない。
想像がついてしまい、まだそうなってもいないのに嫉妬の炎が沸いてくる。
『それ、外で吸ったらダメね・・・』
「ん?」
なんで?瞳が告げるシカマルにナルトはむすりとした顔を浮かばせる。
『・・・敵が増えるから』
「なんだそれ・・・」
くつくつ喉を鳴らしながら笑うシカマルは、煙管の灰をぽとりと煙管盆に落としそれを置く。
『絶対ダメ、その格好で吸うのもダメ、俺の前だけにして』
「あー・・・それは、嫉妬ってやつですか?」
『・・・そうです』
だから、シカマルの首に巻きついて唇を重ねた。
『・・・おねがい』
上目で告げるナルトもまた確信犯な所があるが、あまり素直に気持ちを告げないから尚悪い。
「ずりいんだよ、お前は・・・」
『人の事言えないけど?』
がりがり頭を掻くシカマルにナルトは微笑を浮かべ、抱きついた。
『今度、シカマルの煙管、プレゼントするからな』
「そりゃあ、楽しみだ」
ナルトにしか見せない姿。
二人は自然と体を寄せ合い、口づけた。
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