NARUTO
背中
広くて逞しい背中が好き。
でも、何よりも好きなのは・・・
暗くておもたい雲に、しとしと雨が降り続けて二日目。
じめじめとした空気と湿度が気持ち悪くて、でも雨で濡れて綺麗になった草花達。
傘を折り畳んでナルトは森林の中にある休憩所に座っていた。
ただぼう、と木々を眺め、胸一杯に空気を吸い込む。
この雨で、自然の匂いが強まった香りが好き。
雨を喜び蛙の鳴き声があちこちで聞こえて、ここに皆を呼んだら喜ぶのだろうか。
『・・・いい匂い』
土や草木の香り。
瞼を閉じてまた空気を吸い込んだ。
誰も来ないこの場所は、ナルトにとって秘密の場所でもあり一人になりたい時や、何もしたくない時とかに良く来る場所。
ここに家を建ててみたいと何度も考えだが、利便性を考えればこのままの方が良いと考えてみたり。
じとりとした湿度にナルトの額から汗が一筋流れた。
『あっちーよなぁ・・・』
シャツでそれを拭い
脱ぎたい気持ちにもなるがズボンを膝下まで折り上げる。
ベンチに寝転がってナルトは雨の音を聞きながら眠りについた。
しとしとした雨が音を変えたのは何時だったか。
ザーザー音を出して周りの音すら消すような勢いになっていた。
少しひんやりとしたのを感じて、ナルトの体が少し丸まると、くすりと違う音が近くで聞こえる。
「・・・誰かと思えば」
ナルトかよ。濡れた指先で柔らかな頬を軽く突っつくと、くすぐったいのか冷たいのか、眉を寄せて顔を逸らす。
「ナールートー・・・」
ぷに。苦笑混りに唇を押すと何かと勘違いしたのかそろりと開く。
そこから見える赤く濡れた舌に、シカマルは下唇に指をあてた。
『んー・・・アイス・・・』
冷たい指先をそれと勘違いして、ナルトの唇がぱくり、と捉える。
それには流石のシカマルも驚きに目を瞠らせ魅入ってしまったが、ぬるりとした温かく柔らかな舌が指を舐めた。
「アイスじゃ・・・ねえ」
困った顔をして呟くが、シカマルはじっと眺め瞳が光り細くなる。
新たに指を動かし開かせ、そこに影が近付き色濃くなった。
「・・・アイスじゃねえだろ」
甘く囁く声で告げ、その指を舐めた。
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