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NARUTO


虚ろな目でシカマルを見下ろすナルト。

『なんで・・・』

抑揚すら無い声で呟くよう言葉にする。


『違う・・・こんなの、違う』

「ちがわねぇ」

鎖骨に噛み付けば痛みで顔を逸らす。

新たに生まれてしまった言葉をナルトは告げた。

『好きって・・・言われてねえ』

「・・・は?」

『好きになれとは言わないって、それはもうシカマルの中で諦めてるから?』

もう好きじゃないの。

呟く声に感情はなかった。

「好きに決まってるだろ・・・」

目元についた涙を拭われ、発した声は優しかった。

「ただもう、無理だったんだよ。押さえ込むのが。」

苦く歪んだ顔で告げる言葉が痛かった。

何一つ気付けなかったのだから。

『だから、痴漢?』

わりぃかよ。抱きしめられてふて腐れた声で返すシカマルに、ナルトは喉を震わせて笑う。

『俺がどれだけ怖かったか、わかってんの?』

「・・・悪かったって」

『怖くて、でもシカマルに言えたのが嬉しくて、信頼してたのに。』

自分がした事はいいおこないでは無い事ぐらい彼だって解ってる。

わかっていても、もうどうしようも出来ない気持ちがあった。

『俺、昨日はあんなんじゃなかった・・・』

「・・・そうだな」

反応はしたものの、濡れもしなかった。

ふとナルトは思った。

シカマルに対して随分甘い自分がいる、と。

あんなに怖かった筈なのに。

『俺、初体験が駅のトイレって嫌なんですけど。』

さらりと出たとんでも無い言葉に、ナルトすら驚いて口許に手をあてた。

「へぇ・・・」

『いや、ちが、違う!俺じゃない!』

言ってない!腹の中まで熱くなって、じわりと汗が浮かんでくる感覚がした。

「なら、どこがいい・・・?」

『・・・っ!』

視線を合わせて告げた言葉の意味を、ナルトはただ口をぱくぱくさせた。


『ちょ、シカマル・・・』

二人はまた電車に乗って同じ場所に立って触れられていた。

「あと少しだから待ってろ・・・」

な?指先でまた高ぶった性器を弾かれ、びくんと震えた。

『・・・っ!ふ、う・・・』

口許に手をやり堪える姿に、シカマルはぞくりとする。

学校に行くはずが、逆戻りをして中心街の駅で降りる。

手を引かれて向かった先を見てナルトはぎょっとした。

『ちょちょちょちょちょっ、おま、馬鹿かっ!』

見上げた姿に見覚えがあり、有名高級ホテルと言われている所だったからだ。

「早くいくぞ」

『行くって、シカマルなに考えてんだ!』

気にした様子を浮かべずそのままロビーへ向かっていく。

「お帰りなさいませ、シカマル様」

丁寧なホテルマンはそう言った。

ナルトはもう何が何だか解らないまま引かれ、シカマルは受付をする事無くエレベーターホールへ向かう。

『いみ、わかんね・・・』

「あ?・・・お前知らなかったのか」

シカマルも驚き顔を浮かべた。

『な、なにを・・・こんな所・・・なんで・・・っ』

混乱し過ぎているナルトは、どう言葉にすればいいのかすら解らない。

知らないとは何に対してなのかも。

何故ホテルマンが彼をシカマル様と言ったのかも。

エレベーターが来ればシカマルはカードキーを差し込んでボタンを押していた。

軽い重力を感じた後に上昇する箱の中は、大振りな鏡がある。

『・・・っ、んあっ!』

突然刺激された性器にナルトははっとした。

ぐりぐりと膝で刺激をされ、尻を揉まれナルトはシカマルの肩を押す。

『い、やだ・・・人、きちゃ・・・っん!』

口づけもされ言葉を奪われる。朝から色々ありすぎて頭がずきずきしてくる。

肩を竦めながらもシカマルの口づけを受けるナルト。

『ふ、あ・・・や、だ』

いつ止まるのか解らない。こんな姿を見られたくなくて、ナルトは身体を捩る。

「・・・こねぇよ、誰も」

『ふぅ、あっ、あぁっ!』

直接触れられ扱かれた性器に顎が上を向く。

さっきから熱の放出をされないままだったそこは、すぐに湿り気を帯させた。

「へばんな・・・」

手を抜かれ、それを見せ付けるよう舐める彼にナルトは顔を逸らし赤らめる。

ぽん、と音がして開いたドア。


広いロビーと廊下に出てシカマルは慣れた足取りで部屋へ向かう。

上質な絨毯は柔らかく、包み込まれる感覚を感じながらも彼はカードキーでドアを開く。

「・・・ナルト」

『・・・え?』

入らずに立ち止まるシカマルの声は少し強張りがあった。

「お前は俺が好きか・・・?」

『・・・あ』

シカマルの気持ちは知った。

けれど自分は言ってもない。

怖い思いを沢山して涙を流した。

ならこれくらい。ナルトはシカマルをじっ、と見つめる。

『痴漢する勇気があるなら、俺を惚れさせる力はあんの?』

「・・・はっ、言うじゃねえの」

鼻で笑いシカマルは当然と言える顔で手を差し出した。

「まずベッドの上で確認するか?」

『・・・っ、はははははっ!』

どんな誘い文句だ。

ナルトは笑わずにはいられなかった。

けれどその手を掴みナルトは頬にキスをした。




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あきゅろす。
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