NARUTO
七
週末の休日は洗濯と掃除に忙しなく、広く造った大人達が時々憎たらしく感じてしまう。
『やっぱり欲しい・・・』
家事が一段落してふぅ、と縁側に座り空を見上げて呟くナルト。
『欲しい・・・自動掃除機』
今流行の充電式掃除機が魅力的に感じていたナルトは、携帯を取り出してメールを作成していく。
゛父ちゃん、掃除大変だからお掃除サンバ買うから。゛
と父親にメールを送信すると立ち上がり、出掛ける用意を始めた。
近くの電気デパートへ行くとメールが返信されていた。
゛ナル君、そのお掃除サンバっていくらするのか解らないから明日適当に振り込んでおくね。゛
『・・・いらねぇ』
毎月振り込まされる生活費は足りているし、困る事は無い。
大食いではあるが、それは誰かと食べた時にするぐらいで、普段は普通の量ともいえる。
゛お金余ってるから振り込まなくていいよ。゛
父親に返信して、欲しい商品を探すが様ゲームソフトがありついつい立ち止まって見てしまった。
さっさと買って食料品でも買うか。
家電製品は引っ越してきた時に新品のを買って、欲しいとも思わず自動掃除機売場へ向かった。
見本としてお掃除サンバが稼動しているのを見て、他の稼動している商品も眺めた。
『すいません』
「いらっしゃいませ、何をお探しですか」
近くにいた男性スタッフを呼び、ナルトは口をひらく。
『この商品全般は充電器をコンセントに差し込んでいれば、何処の部屋でも使えます?』
「はい、自動測定機能が搭載されておりますので例えばリビングに充電器をセットしていればそこへ、寝室にセットしていればそこへ、となります。」
ならば後は自分が気に入った物を選ぶだけだが、こうもメーカーがあるとどれがいいのか迷ってしまう。
『比較的新しいのってありますか?』
「はい、サンバの新作が出たばかりの物がございます。」
案内されそれを見ると、黒くて丸いボディーにクリアグリーンのラインが入っている物。
そう言えば奈良先輩の電子辞書はグリーンだったな、とふと頭の中から出て来て自分でも驚く。
『じゃあこれください。』
「はい、ありがとうございます!」
何だか色で選んでしまったような気もするが、一番目に入り他の色に気付かなかった。
サンバを買い近くのスーパーへ入り食材を選んでいた時だった。
【ちょっと探してよシカマル】
「めんどくせぇんだよ」
シカマルと髪の毛の長い女性が歩いているのを見て、ズキリとする胸。
『──・・・なんで?』
なんで嫌な気持ちになるんだろう。
どうして、焦っているような感じになっているんだろう。
ナルトは胸元に手をやり俯いた。
【こっちよこっち!】
「はいはい」
近付く声に振り向く事は出来ず、ただドクドクと胸がざわめく。
「・・・ナルト?」
『あ・・・奈良先輩』
【シカマルの後輩?】
ひょい、と現れた女性にナルトは軽く頭を下げると、彼女はシカマルを見て背中を叩く。
【なによ、その説明が面倒そうな顔。】
「あーそうだな。キバの友達で俺も知り合ったんだよ。」
自分でも解らないから変化に気付く彼女に、ナルトの胸はしくしく痛み立ち去りたかった。
【金髪に綺麗な青い瞳・・・キバが言ってたナルト君!?】
『キバ、何言ってたんですか』
またか、と思い月曜日とっちめてやろうと決めると、彼女はケラケラ笑う。
「ナルト、こいつも幼なじみで山中イノってんだ。」
【初めまして、お使い頼まれちゃって荷物持ちに呼んだの。】
『初めまして、うずまきナルトです。』
何買うの?とナルトのカートを眺めるが挽き肉しか入っていなかった。
それを見たシカマルは不思議に思い口を開く。
「チョウジ並に食うのにこれだけか?」
「えぇ!?ナルト君ってチョウジ並に食べるの?」
イノが驚くのも無理も無い。ナルトの体型がスラッとしているからだった。
『基本俺は誰かと食べない限り普通です。』
「何作るんだ?」
検討中、とシカマルに返して商品を眺めて止まる。
『あー・・・うん。ラザニアにしよう。』
ミートソースと波形のパスタをカートにいれていく。
「ナルト君が作るの?」
『はい。両親が海外なんで俺今一人暮らしなんです。』
羨ましーとイノは言うが、これはならなきゃ解らない苦労さがある、と頭の中で突っ込んだ。
「うまいのか?」
『んー、ミートスパゲティのグラタンみたいな感じ?』
ふぅん、と鼻をならすシカマルにナルトは見上げる。
『結びつかない?』
「今度作って」
「──・・・。」
それを聞いたイノは目を丸くして握り拳を作った。
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