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NARUTO


報告に行くと、シカクはお猪口を落として浴衣を濡らし

ヨシノはナルトを抱きしめ喜びの涙を流した。


長期任務となった為、二人は実家へと住む事になりナルトは初めて家族のいる生活を送る事になった。

「ナルちゃん、ゆっくり過ごして元気な赤ちゃん産むのよ」

『ヨシノ母ちゃん、俺沢山手伝うか・・・「駄目よナルちゃん」うぅ・・・』


凄まれてしまい、ナルトは表情を強ばらせる。


「今は大切な時期なの。手伝いだなんて絶対させないわよ。」


『で、でも俺、何もしないのは嫌・・・』


「体調いい時に普段通りにやりゃいいんだよ。」


「ナルトだって主婦だからな。まぁ母ちゃんの気持ちは分かるがよ」


頭を撫でながらシカマルはヨシノに伝えると、考える仕草をした。

「そうね。ナルちゃんにとって初めての事だから、無理だけは絶対にしちゃダメよ?」


『約束する!』


笑顔で頷くと、ヨシノも笑顔を浮かべる。




───────




────




──


悪阻は嘔吐する事は無く、かえってナルトを苦しめてしまい、痩せてしまった。


なんとか食べようとするも、匂いでダメになったり、良くて数口食べられれば良い方だった。


それでも、体調がいい時は家事をしたり庭に出たり気分を紛らわして過ごした。


けれど、事件は起こってしまう。


朝、シカマルを見送ろうと玄関へ向かっているどきどき、ナルトは目眩を起こし倒れそうになる。


「ナルト?・・・どうしたナルト!?」


『あ、いや・・・平気』


妊娠すれば貧血に気を付けろと言われていたが、今の状態でまともな栄養は取れていなかった。

ナルトの顔は悪阻もあり、青白くなりシカマルは抱き寄せると、茶の間に居たシカクとヨシノが現れ現状を見て駆け寄る。


「一体どうした」


「ナルちゃん貧血?顔が青いわね。」


『ごめ、大丈夫・・・』


大丈夫と言われてもそう見えなくて、シカマルはナルトを抱き上げると玄関へと歩く。


「父ちゃん悪い、ナルト病院に連れてくから」


『病院なら俺ちゃんと行くから、だから仕事行ってくれよ!』


こんな事で遅刻なんかさせたくなくて、シカマル告げれば、納得した顔を向けられなかった。


シカマルがどんな立場でどれだけ必要とされているのか理解しているし、だからこそナルトは遅刻なんかさせたくなかった。


「阿呆な事言うな、お前に何かあれば、四代目様や五代目に申し訳がねえ」

それに


「自分の嫁さんと子供をほったらかして仕事なんか出来るか。」


『でも今日は・・・っ』


せりあがりそうになり口許に手を当てて俯く。そして微かに感じる腹部の痛みに、空いている手がそこへいく。


「ナルト、お前が言うのも正しいがよ、綱手様が何かあれば優先しろと言われているんだ。それでもコイツかなり我慢してたんだよ。」


『がまん・・・?』


「余計な事言うんじゃねぇ」

チッと舌打ちがでるシカマルに、シカクは苦笑をしながら口を開く。


「朝具合が悪い時なんて心配過ぎて任務が荒いんだよ。それに機嫌が悪い。ナルトがそう言うの解ってっから、コイツなりに限界まで我慢させてたんだよ。」


『で、でも今日は・・・』


大事な会議でしょう、と呟く。

「ナルちゃんの主治医って、誰だったかしら?」


ヨシノは知らない素振りで独り言のように話すと、シカクが苦笑を浮かべる。


「ナルト、綱手様は産まれるのを楽しみにしているんだ、綱手様が遅れて文句を言う奴はいねぇよ」


「だからさっさて病院行くぞ。」


二人が遅れたって言い訳は沢山できる、と付け足すとナルトは瞳を潤わせた。


「ナルちゃん安心して連れていかれなさい。」


にこにこ顔で二人を見送るヨシノ。二人が見えなくなると、溜め息を吐いた。


「まったく、お互いに我慢しすぎなのよ。」


「なんともなけりゃいいがな」


ナルトを心配しながら、二人も仕事の用意を始めた。



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あきゅろす。
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