「んで、何買うんだよ」 ショッピングモールに来ていた俺と九条に、あの三人。美和ん家で必死こいてバイトして貯めた金で、愛に贈り物するんだと。…スゲーよなあ。 「…、三人で一つなら多分──」 「アレでしょう…」 「…アレって探すの大変なんだよね…」 「?──アレ?」 三人の言葉に首を傾げる俺と九条を気にも止めず、何かを探しに行った三人。…こっからは別行動って事だな、多分。 「九条は何か用意してんのか?」 「まあ、──一応」 曖昧な返事を返す九条を少し不思議に思ったけど、俺が聞いていい話じゃねえって分かったから深追いはしなかった。いや、出来なかったんだな。 ─────────── 「絆ってね、唄もあるの。聞いてみる?」 「へー…、どうせなら愛チャンが歌ってよ」 「あ、俺も聞きたい」 「それは名案ですね」 さっきの過去話には続きがあった。 あの後、イタリア語の勉強もかねて雑談をしていた彼らに思い出したように口火を切った愛に、せがむ彼ら三人。 「え、へ、下手だしっ」 それに対し、たじろぐ愛は苦笑しながら両手を前に出して大きく左右に振った。 「別に音痴でも構いませんよ」 「骸さん!フォローになってないし!」 愛と骸の何の変哲もない会話で和む空気は、出逢った当初には有り得なかったモノ。 それでも今こうして笑いあっている現実が彼女たちの間に芽生え始めた¨絆¨が関係しているのだろう。 それは小さな些細な一言 君が私にくれた勇気、 そして信じる心の強さ 今、貴方が私の傍にいなくとも 貴方がいたという事実は忘れない 貴方がいつか私以外のヒトを選んで 幸せになったとしたなら、 私も幸せだよ 理由なんていらないわ 私と貴方が友情という名の絆で 結ばれていたということなんだから 「「「─────」」」 「だから下手だって言ったのにっ」 黙って目を見開く彼らに頬を膨らましてそっぽを向いた愛の顔はみるみるうちに赤く染まっていく。 それにやっと我に返った三人は、温かい笑みを浮かべて拗ねる彼女の側へと近寄る。…彼女に、愛に伝えたいことがあったから。 ─いい唄だね *** 愛と出逢って変わった事 心情の変化も含め、 失っていた人を愛する心を 思い出すことが出来た 貴方にとって、 僕が一番でなかったとしても 僕は君と過ごせた この数カ月が何よりの宝です 世間一般的に言って 愛して愛されることが 幸せだと昔、聞きましたが 僕はそう思いません 貴方を愛せた、その事だけで こんなにも幸せで穏やかな 感じたことのない温かさを 抱いているのですから── ありがとう───、 それは僕の台詞ですよ愛─… *** 俺さ、愛と出逢って 変わった事、たくさんあるよ 俺のいた世界で言えなかった弱音も 君の前なら全部さらけ出せた 別に言葉にしてって事じゃないんだ いつも笑って、涙なんて見せない君 最初はきっとそんな姿を 京子チャンに重ねていたんだと思う けど、今は違うんだ いつの間にか大切な女の子になってた 初めて涙を見せた愛は 俺に言ったよね──? いつか帰る俺たちには頼れない 巻き込むわけにはいかないからって バカだよな、…誰も迷惑なんて 思うわけないじゃんか 俺は愛を好きになって 守ることの大切さ 負けない心の強さを 今まで以上に分かったんだ *** 愛チャンと初めてあった日 今でも鮮明に思い出せるんだよ 怯えながら、震えながらも 必死で僕を止めようとした もしかしたらその瞬間から 僕は君に惹かれてたのかもしれないね 接する度に思ったよ コロコロ変わる君の表情に 魅せられていく自分に──、 どうしようもなく君を愛しいと 感じる自分に───、 ねえ、愛チャンは 僕がいなくなったら少しは悲しんで 寂しいって思ってくれるのかな? 別れの時は 着々と迫ってきている .... (あったよ、骸!白蘭!) (お、流石綱吉君。日本慣れしてるね) (日本人も外国人も関係ないでしょう) (まあ、まあ─あ、そう言えばさ) ((?)) (これ、文字彫ってくれるらしいよ) (決まりですね──、) (懐かしいなー…) (やっぱりそうだと思った) (((─Un'obbligazione─))) |